出張管理のコンカーが中小企業向けサービス、エボラブルなどと提携
クラウド型の出張・経費管理サービスを提供する米国のSAP Concurの日本法人であるコンカーは7月30日、エボラブルアジアと、海外出張手配をチャットシステムで提供する第3種旅行業のボーダーとの業務提携を発表した。クラウド型経費精算・管理サービス「Concur Expense」をエボラブルアジアの国内出張手配、ボーダーの海外出張手配サービスとそれぞれAPIで連携。中堅・中小企業をターゲットに、出張管理から経費精算までを統合したサービスを提供する。22年までにコンカーの中堅・中小企業に対する売上高の目標として、17年比19倍の成長をめざす。
同日に開催した記者会見で、コンカー代表取締役社長の三村真宗氏は「中堅・中小企業向けの事業に本気かつ全力で取り組む。コンカーは『大手企業向け』というブランドイメージがあるが、これからは『中堅・中小企業に強い』というイメージを作っていきたい」と意欲を示した。なお、大手企業向けのサービスや営業は、同社の「Concur Travel」を活用し、JTBなどと協力のもと引き続き実施する。
三村氏によると、中堅・中小企業の契約件数は、16年は全体の22%を占める程度だったが、17年は52%に増加し、18年は63%となる見通し。契約金額は、16年は全売上の4%だったが、17年は10%で、18年は22%まで増える見込みという。同社では2022年までの目標として、契約件数を全体の85%、売上を全体の46%まで高めることを掲げている。
三村氏は「日本企業はITリテラシーが欧米よりも下という印象」とした上で、同社のアンケート調査から、約8割の中堅・中小企業は間接業務のプロセスを改善する必要があると考えており、特に経費精算や請求書の支払業務は約7割が改善する必要性を感じていることを紹介。出張手配は、出張規程の違反防止のためのプロセスの厳格化と手配の効率化を課題として挙げる企業が多かったという。同氏は「中堅・中小企業の問題意識は高い」としながらも、問題を解決するためのシステムの導入が遅れており、導入している企業も大手に比べて機能が限定的であることを説明。「クラウドの普及により、中堅・中小企業も大手並みのシステムを利用できるようになった」とアピールした。
記者会見ではエボラブルアジア代表取締役社長の吉村英毅氏も登壇。「日本ではBTM市場は未成熟。競合企業は大手をターゲットにしているところが多く、中堅・中小企業市場での今回の提携は大きなチャンス」と意欲を述べた。同社は中小企業を中心に3000社と法人契約を実施しており、今回の提携により1万社に増やしたい考え。加えて「国内航空券サイトのユーザーの大多数が出張で利用しているが、BTMではなく個人での申し込み。こうした強みを出張手配で活かしたい」と話した。このほか、ボーダー代表取締役社長の細谷智規氏は「中小企業の出張件数は増えているが、管理する仕組みが未成熟。3社でうまく成長したい」と述べた。