クレカ不正利用、業界全体で対策を-OTAが共同プラットフォーム

ウェブ決済で被害が拡大
システムと人的フォローで被害を予防

 インターネットにおけるクレジットカードの不正利用の被害は年々増加傾向にある。このほど実施されたオンライン旅行業界の国際会議「Web in Travel(WIT)Japan & North Asia 2018」では、カード会社やシステム開発会社から、不正利用防止に向けた取り組みの必要性が話されており、業界内での注目も徐々に高まってきている。また、楽天はリクルートライフスタイル、一休と昨年7月、「旅行業不正検知共通プラットフォーム(JIRSTA)」を立ち上げ、不正利用対策に取り組んでいる。今回はWITのパネルディスカッションと楽天、JIRSTAでの取り組みから、不正利用対策のヒントを探る。


カードの不正利用被害額、17年度は6割増
オンライン旅行業界で対策を

アクルの近藤氏 一般社団法人日本クレジット協会がクレジットカード発行会社約45社に実施した調査によると、2017年に国内で発行したクレジットカードが国内外で不正使用された被害額は、前年比66.5%増の236億4000万円。このうち「偽造カード被害額」は3.6%増の31億7000万円、紛失・盗難カードによる不正利用などの「その他」は24.4%増の28億円であった一方、ネットショッピングの際に会員になりすましてカードを不正利用するなどの「番号盗用被害額」は98.8%増の176億7000万円となっており、番号盗用による被害が急速に拡大していることがわかる。

 WITのパネルディスカッション「Closing The Payments Loop」で登壇した、金融業界向けのシステム開発などを展開するアクル代表取締役社長の近藤修氏は、「過去数年を見ると、カードの不正利用によりチャージバックするケースが多く発生しており、日本でもOTAを含むEコマースで増えている」と説明した。同社への旅行会社からの問い合わせも増えており、不正防止に向けたシステムを開発しているところ。昨年秋からテスト版を旅行会社と協力して試験運用しており、年内には販売を開始する予定という。

 髙橋氏 また、訪日外国人向けにアクティビティ情報を提供するVoyagin代表取締役の髙橋理志氏は、「2年ほど前にテーマパークなどのチケット分野に進出したところ、カードの不正利用が一気に増えた」ことを紹介。現在はAIの機械学習をベースにした、シンガポールの企業による不正利用を予防するシステムを使用しており、「システムを導入したところ多くの損失を避けられるようになった」と話し、不正利用対策に取り組む重要性を強調した。