中部第2滑走路実現に向け都内で決起集会、二階氏や大臣に要望も
東海3県1市と43の経済団体などで構成する「中部国際空港二本目滑走路建設促進期成同盟会」は7月3日、都内で政府と与党への要望活動をおこなうとともに「与党中部国際空港拡充議員連盟総会」との合同開催の形で、決起集会を開催した。愛知県によれば2008年の設立以降、同会は政府や与党への要望は毎年実施してきたものの、都内に多くの関係者を招いて「決起集会」を開催したのは初めて。これまでは中部エリアでの総会やシンポジウムなどにとどまっていたという。
中部国際空港の航空旅客数のピークは、「愛・地球博」にあわせて開港した初年度の05年で約1235万人。その後はリーマンショックなどの外的要因などにより減少が続いたが、近年は訪日外国人旅行者の増加などにより増加傾向にあり、昨年度の旅客数は1153万人、発着回数は10万回と初年度に近い水準にまで戻っている。今年度は過去最高の1300万人・11万回を見込むが、一方で空港処理能力は限界に近づいているため、同盟会は改めて第2滑走路建設に向けたアピールを強化する考え。
この日はまず、午後に自由民主党幹事長の二階俊博氏、公明党幹事長代行の斉藤鉄夫氏、国土交通大臣の石井啓一氏にそれぞれ要望書を提出。開港以来検討が続いている第2滑走路建設に加えて、空港機能のさらなる強化に向けた調査や検討、訪日旅客増などに資する航空需要拡大策、空港におけるテロ対策やCIQ体制の強化、2次交通の拡充、運営会社である中部国際空港の法人事業税を軽減する特例措置の延長などを求めた。新滑走路の供用開始時期については「27年度のリニア中央新幹線開業に伴う大交流圏の誕生」に間に合わせたい考えを示した。
決起集会では、与党議連を代表して会長を務める自由民主党の川崎二郎氏が挨拶。三重県出身の川崎氏は、経済活動などの東京への一極集中を懸念するとともに、是正に向けた「東京に負けない地域づくり」のためにも中部空港の機能拡張が必要と主張。出席者に協力を求めた。
その後は要望者を代表して、同盟会の会長を務める愛知県知事の大村秀章氏や、名古屋市長の河村たかし氏、3県1市の議連を代表して愛知県議会議員の岩村進次氏などが挨拶。このうち大村氏は、日本の4つの主要空港のうち中部のみが滑走路を1本しか持っておらず、その処理能力はピークに近づきつつあることを訴えた。
新滑走路の用地については、名古屋港で発生する浚渫土砂の新たな処分場として同空港沖が有力な候補地とされていることなどに言及。その上で「計画が進めば広大な土地ができるので滑走路として活用したい」と述べた。その後は同盟会・3県1市議連ともに、与党議連に要望書を手交した。
そのほか、来賓として出席した国土交通省航空局局長の蝦名邦晴氏は「地元の思いを改めて受け止める。相談も真摯に受け止めたい」と挨拶。同空港の現況について説明した中部国際空港代表取締役社長の友添雅直氏は「日本経済の成長を支える中部圏で人とモノを集積するインフラとなれるよう、取り組みを強化する」と意欲を示した。