ホテルスマホ貸出のhandy、ソフトバンクと資本業務提携-第3種取得へ
ホテル宿泊者向けにスマートフォン無料レンタルサービス「handy」を展開するhandy Japanとソフトバンクは7月1日、資本業務提携契約の締結を発表した。今後は2社で新サービスを共同開発し、旅行者向けに旅行商品やアクティビティなどを販売する「Travel Agent」、ホテルや旅館などにスマートロックや無人チェックアウト機能などを提供する「Hotel IoT」、事業者にデジタル広告を提供する「Media」の3領域に注力する。
「handy」はインターネット接続、国内外への通話、15言語による観光案内コンテンツを搭載したスマートフォンをホテルの客室に設置し、宿泊者に無料で提供するサービス。handyを設置するホテルから利用料を徴収するビジネスモデルで、日本では同サービスを世界で展開する英領バージン諸島のMango International Group Limitedが、シャープと16年10月に合弁会社としてhandy Japan Holdings Company Limitedを設立。同社の100%子会社であるhandy Japanが昨年7月からサービスを展開している。資本提携は、handy Japan Holdings Company Limitedがソフトバンクに第三者割当増資を実施。出資金額や比率は非公開とした。
同日に開催した記者会見で、handy Japan最高経営責任者の勝瀬博則氏は「スマートフォンを起点にしてスタートする新しいトラベルエコシステムを作り、旅行業界に革命を起こしたい」と意気込みを語った。現在は国内の全ホテルの約3割に当たる約1700ホテルが24万室でhandyを導入。訪日客が多いホテルでは、6割から7割のスマートフォンが利用されているという。
Travel Agent領域については、「『手の中の旅行会社』として、スマートフォンを介して着地型の旅行商品の開発・販売を実施したい」考え。同社によれば、年内に第3種旅行業を取得し、他の旅行会社と提携して旅行商品を代売。将来的には第2種を取得して自社企画の旅行商品を販売したいという。このほか、同領域ではアクティビティやテーマパークなどのチケットを販売。タクシー配車アプリとも提携する。
Hotel IoT事業では、スマートフォンと客室管理システム(PMS)を連携した無人チェックアウト、精算業務の自動化、スマートロック機能などを提供し、ホテルの業務負担の軽減をめざす。Media事業ではデジタル広告を旅行関連事業者などに提供。飲食店などのクーポンの提供、VRコンテンツも用意する予定で、地域の観光や防災情報についても提供する。handyで取得したビッグデータの活用もめざす。
こうしたサービスの開発はソフトバンクの技術を活用するもの。同社の法人営業やSEなどを活用し、ホテルへの営業も実施する。同社代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏は「handyはホテル業界の仕事の仕組みを完璧に変えられる。そこに大きな意義を見出した。資本を出資し、我々の技術やIoTなどを提供することで、事業を現在の10倍程度までに伸ばしたい」と意欲を示した。Travel Agent領域については、同社グループのヤフーのYahoo!トラベルや一休.comなどの活用も検討する。
記者会見では、同日からスマートフォンのテザリング機能を開放することも発表。ただし、テザリング機能はHotel IoT事業とともに、ホテルへの有料サービスとして提供する。現在はホテルに対し、1日1端末あたり33円のプランでサービスを提供しているが、今後は、こうしたサービスを付加した新しいプランを用意する。勝瀬氏はhandyを導入済みの施設に加え、新しいホテルに同サービスをアピールする考えを示し、「固定電話の代わりにhandyを入れる事例も多くでている」と語った。
このほか、勝瀬氏は、ターゲットをこれまでのホテルに加えて旅館や民泊施設など拡大する考えを語り、「日本には約200万室の宿泊場所がある。マーケットシェアをhandyで取っていきたい」と話した。宮内氏も「目先の売上や利益よりも圧倒的なシェアを獲得すること。多くの旅行者やホテルが使えば利益も売上も上がる」とコメントした。
今後はマイステイズ・ホテルズ・マネジメントが運営するホテル「マイステイズ」で、新サービスの効果検証などを実施。結果を参考した上で、新サービスの開発や事業を展開する。新サービスの提供時期は未定とした。