アフリカ最大のトレードショー「インダバ2018」開催、大統領交代で観光予算増
サファリの新たな楽しみ方などアピール
JATAも参加し観光大臣に来日要請
アフリカ大陸最大のトラベルトレードショー「Africa's Travel Indaba(インダバ) 2018」が5月8日から10日、南アフリカ共和国のダーバンで開催された。参加したバイヤーは前年比14%増の計1747社を記録し、出展社数はアフリカ23ヶ国からの出展を含む前年比5.7%増の1100社以上で、そのうち200社が初出展だった。会場にはアフリカの9ヶ国の観光大臣が訪れるなど、インダバはもはや南アフリカだけでなく、アフリカ大陸全体の観光を発展させるイベントに成長したといえる。
観光分野の規制を緩和し、雇用創出へ
インダバ開幕に当たって観光大臣のデレク・ハネコム氏はまず、シリル・ラマポーザ大統領の「観光地としての南アフリカの魅力を伝えるため、主要な国で展開しているマーケティング活動への支援を強化するとともに、障壁となる規制緩和を加速させ、成長著しい観光関連ビジネスの発展を後押しするための方策を講じていきたい」という方針を引用し、「世界各国からお越しのバイヤーのみなさんには、観光産業による経済への貢献度を2倍、3倍、4倍へと高めながら、雇用創出の拡大を図ってもらいたい」と挨拶を述べた。
今年2月に就任したラマポーザ大統領はその政策で雇用創出、景気拡大を訴えており、観光産業に寄せる期待は高い。会場内でも、例えば直行便の積極的な誘致を期待する声を多々聞くことができた。路線誘致は実際に決定している案件もあり、インダバ開幕当日にはブリティッシュ・エアウェイズ(BA)による10月29日からのロンドン(ヒースロー)/ダーバン線の開設が発表された。現在、ダーバンのキングシャカ国際空港にはエミレーツ航空(EK)やカタール航空(QR)、ターキッシュエアラインズ(TK)などが乗り入れているが、西欧との間に直行便はなかった。BAの路線新設によりヨハネスブルグ、ケープタウンに次ぐ南アフリカ第3の都市であるダーバンへの観光、業務渡航両方の需要拡大を期待している。
なおジェイコブ・ズマ前大統領時代に策定された、海外から400万人、国内旅行者を100万人増やし5年間で500万人の旅行者増加をめざす「5 in 5戦略」や、観光産業の要職の30%を女性にする「Women in Tourism 30 in 5」などの政策は基本的に引き続き継承される。加えてラマポーザ政権ではすでに観光に対する予算が増額されており、国内外で南アフリカの観光産業に対する期待が高まっているという。
インダバが注目されるのは、南アフリカで開催されながらもアフリカ大陸全体を包括するトラベルトレードショーである点だ。今回のインダバにはアフリカ23カ国からの出展があり、これは昨年から5ヶ国増えている。また、日本人観光客に人気の高いエジプト、ケニア、エチオピアなどからの出展社も毎年見かける。
南アフリカ観光局CEOのシサ・ンツォーナ氏は、「インダバを南アフリカに限らずアフリカ大陸全体を巻き込むイベントへと進化させた決断は、アフリカの経済成長への貢献を使命とする我々にとって熟考を重ねたうえでの戦略だった。アフリカ諸国からの出展社数の増加は、このトレードショーに大きな意義を与えている」と語る。