MSC、日本への投資強化-19年は11本、20年は次世代船で
MSCクルーズは4月27日、同社初の日本発着クルーズの開始に合わせ、CEOのジャンニ・オノラート氏が来日し、2019年と20年の日本配船計画を発表した。19年は今年と同様に「MSCスプレンディダ」(総トン数13万7000トン、乗客定員3274人)を配船。オリンピックイヤーの20年は、19年3月に就航する次世代型客船の新造船「MSCベリッシマ」(17万トン、5700人)を配船する。
オノラート氏は、同社が17年から26年にかけて実施している、総額105億ユーロ(約1兆3700万円)の大規模な投資計画を説明した。全世界の年間乗客数は現在の240万人から500万人へ倍増をめざし、3タイプの大型客船クラスを軸とした12隻の新造船や、テクノロジーを活用したプロダクトやサービスなどデジタル革新を推進。MSCならではのクルーズ体験の提供を追求していく。MSCベリッシマはそのうちの大型次世代客船「メラビリアクラス」の1隻だ。現在発表されている日本発着クルーズでは、過去最大の客船となる。
オノラート氏は「2隻の大型客船の配船こそが、我々の日本市場に対する決意の表れ」と明言。特にMSCスプレンディダでは、昨年11月に日本市場を意識した大規模改装を実施した。さらに、上記の投資計画にはブランド認知度の向上に向けたマーケティング計画や日本支社の人員増加なども含まれていることを明かし、日本市場への投資を強化する同社の姿勢を強調した。
MSCクルーズジャパン社長のオリビエロ・モレリ氏は、19年の日本クルーズについて説明。18年と同様に、自主クルーズと旅行会社によるチャーターをあわせて運航する。ゴールデンウィークを皮切りに、4月27日から10月23日までの期間、日本発着クルーズを8本、日本発または着のショートクルーズを3本計画。日本発着クルーズのうち6本は、第1種旅行業のジャパネットサービスイノベーションによるチャーターだ。寄港地は母港の横浜のほか、秋田や函館、那覇、大阪、佐世保など初寄港地を含む11港を予定。日本市場では3万人超の販売を見込む。
モレリ氏は、今年がMSCクルーズの日本支社設立10周年であることにも言及。これまでは同社の主力である地中海への日本からのフライ&クルーズで6割のシェアを獲得しており、10年間で15万人を送客してきたことについて述べ、「この10年間、日本市場に強い信念をもって地位を築いてきた」と日本での着実な成長をアピールした。
さらに、16年から開始したアジアクルーズでは、2年間で国内19港に214回寄港したことも説明。18年からは日本発着クルーズをおこなうことで、同社にとって日本がフライ&クルーズと日本発着クルーズのソースマーケットであり、アジアクルーズの目的地でもある重要なマーケットともなっていることを示した。
なお、MSCクルーズジャパン営業部長の区祥誠氏によると、18年の日本発着クルーズはほぼ完売。当初、日本での販売はゴールデンウィークのチャーター1本、自主運航1本からのスタートだったが、現在までに旅行会社3社によるチャーター4本、自社クルーズ2本に拡大しており、日本発または着のショートクルーズも5本実施する。