B787問題、全日空はシドニー線で機材変更-20日と21日
米国連邦航空局(FAA)と欧州航空安全局(EASA)がこのほど、ロールスロイス製エンジン「トレント1000」の一部を搭載したB787-8型機とB787-9型機について運航条件に制限を設け、あわせて国土交通省航空局も耐空性改善通報(TCD)を発出したことを受け、該当機材を使用している全日空(NH)は4月18日、20日の羽田発シドニー行き便と21日のシドニー発羽田行き便の使用機材を変更すると発表した。全246席のB787-9型機を予定していたところを、該当するエンジンを搭載していない全240席のB787-8型機に変更する。NHはB787型機を64機保有しており、うち31機が対象エンジン搭載機。
総座席数に大きな違いはないが、TCD対象外のB787-8型機にはプレミアムエコノミークラスを設けていないため、一部の利用者にはメールや電話などで事前に連絡して変更への協力を求め、都度返金などに応じるという。同社はそのほか、機材変更に伴いビジネスクラスの座席の仕様なども変更される可能性があることを説明。問い合わせはコールセンターの「ANA国際線予約・案内センター」で受け付ける。
なお、NHが19日15時の時点で発表している機材変更はこの1往復2便のみ。ゴールデンウィークを間近に控える今後については「変更の可能性はあるが、現時点でキャンセルや他社便への振替などは決定していない」という。新たに影響が発生する路線については、順次ウェブサイトなどで発表する。ちなみに日本航空(JL)のB787型機はGE製エンジンを搭載しており、今回のTCDの対象外。
「耐空性改善通報」とは、特定の航空機事故などを受けて、国土交通省が同機種を保有する航空会社に発行するもの。各航空会社は当該機種について整備や改造などを実施しなくてはならず、2013年のTCDでNHとJLは、B787-8型機のバッテリーの不具合が解消されるまで同型機を運航しないよう指示されている。今回のTCDでは、長時間運航によりエンジンの劣化が進む可能性があることから、エンジン2基のうち1基が停止しても飛行可能な時間を最大207分から最大140分に制限する。
4月17日のTCDを受けてNHは、18日中にウェブサイトでコメントを発出。「TCDは、飛行中にエンジン1基に不具合が生じた場合、一定時間以内に代替空港への着陸が可能な航路にて運航する方式の条件を変更するもので、安全性をより確実にするための指示。当社便の安全性にはまったく問題はない」と強調するとともに、「対象となる機材は国際線の一部の機材。ご迷惑を最小限とするべく対応を進める」としている。
▽NH、機材変更の実施便
NH879便 HND 22時20分/SYD 08時45分※翌日(4月20日)
NH880便 SYD 20時55分/HND 05時30分※翌日(4月21日)