比ボラカイ島、今月末から半年間の閉鎖、環境に配慮
フィリピン政府は4月5日、同国屈指のビーチリゾート地のボラカイ島について、26日から6ヶ月間、観光客の立ち入りを禁止すると発表した。政府によればホテルや飲食店などの事業者による排水が垂れ流され、海を汚していることを問題視しての決定で、下水道整備など浄化に向けた対策を講じるという。なお、一部のランドオペレーターなどは、観光関連事業者だけでなく現地住民の生活排水の問題についても指摘している。
ボラカイ島は、フィリピン中部のパナイ島の北西沖に位置する、面積1000ヘクタールほどの小さな島。西側に広がる約4キロメートルの「ホワイトビーチ」が人気で、国内外から観光客を集めている。日本からの直行便は無く、アクセスする際にはマニラやセブなどで国内線に乗り換え、カリボ空港またはカティクラン空港からパナイ島入りし、カティクラン空港近くの船着き場からボートで島へ渡る。
フィリピンに強みを持つランドオペレーターのフレンドシップ・インターナショナルによれば、以前からボラカイ島の水質汚染については問題視されており「1ヶ月ほど前から閉鎖の可能性を耳にしていた」ことから、ボラカイ島の手配については一部を中止していたという。4月26日以降にボラカイ島を訪れるツアーについては、旅行会社などに状況を説明し始めており、キャンセル料などについては協議する予定。なお、ボラカイ島における日本人旅行者のシェアは「それほど大きくはない」とのことで、韓国人や中国人の数を下回るという。
フィリピン専門ランドオペレーターのアティックツアーズは、日本からカリボやカティクランへの直行便がないことから比較的影響は小さいとの見方を示した上で、「大手旅行会社によってはツアーを造成しているので、影響は各社で異なるのでは」とコメント。また、韓国などからの旅行者がセブやボホールなど他の人気リゾート地に流れ、ホテルの仕入れや手配などに影響する可能性を懸念した。すでにボラカイ旅行を予定している旅行者には、同国内を中心に他のデスティネーションへと誘導する方針。なお、5日午後の時点で政府からのレターは届いていないという。
なお、今回の決定を受けてフィリピン航空(PR)は、期間中はカリボ線とカティクラン線の便数を減らして、他のマニラ/セブ、イロイロ、プエルトプリンセサ線などを増便する旨を発表。セブパシフィック航空(5J)もすでにカリボ線とカティクラン線の減便を発表している。影響を受ける旅行者には予約変更を促すとともに返金に応じるとしている。