JATA、訪日新提言について説明、品質向上など3本の柱
日本旅行業協会(JATA)は3月22日に記者会見を開催し、副会長と訪日旅行推進委員長を務める日本旅行代表取締役会長の丸尾和明氏が、このほど観光庁に提出した「2020年の目標達成と2021年以降の持続的成長に向けた訪日旅行に関する提言書」について説明した。JATAが訪日旅行に関する提言をまとめたのは、14年以降では5回目で、今回も政府のアクションプランなどへの反映をめざす。なお、丸尾氏は12年から委員長を務めているが、提言について発表会見を開いたのは今回が初めて。
冒頭で丸尾氏は、これまでの提言などにより観光庁の施策に多くの提案が取り入れられ、13年には「ツアーオペレーター品質認証制度」も実現したことなどを説明。その上で、今回は「品質向上」「安心安全」「地方誘客推進」の3つを柱に、各種施策の新設と拡充を提案したことについて述べた。3本の柱については「訪日旅行の競争力のベースは高い品質と安心安全」と述べ、これら2つの強化の必要性を強調するとともに、地方への送客推進に向けては「リピーター化のための施策が必要」との見方を示した。
「品質向上」については、登録制度が施行された旅行サービス手配業者(ランドオペレーター)について、「訪日外国人にオーダーメイド旅行を手配し、内容について一定の質を担保できるオペレーター」と「単に手配の代理のみを実施するオペレーター」の区分について検討することを提言。送客元となる海外の旅行会社に対してさらなる安心と安全を見える形で示すことの重要性について語った。区分に向けた制度のデザインなどは、これから検討するという。
そのほかには「ツアーオペレーター品質認証制度」のような品質認証制度を、宿泊や飲食などの関連業界にも拡大することを要望。ニュージーランドの「クォールマーク」やフランスの「カリテ・ツーリズム」などを例に挙げた。また、リピーター化促進に向けて、スイスのツェルマットに倣いリピーターに各種の優遇サービスが受けられるバッジを進呈することも提案。日本政府観光局(JNTO)による、日本を旅行先として扱った経験のない海外の旅行会社に対するプロモーションなども求めた。
「安心安全」については「まだまだ進んでいない」と見る緊急時用の多言語情報提供システムの拡充を要望。FIT向けのトラブル対応窓口の設置、白タク・白バスによる違法営業の取り締まり強化、日本版ツーリストポリスの新設なども提案した。
「地方誘客推進」では2次交通の利便性向上に向けた周遊パスの造成促進、日本版DMOの海外向けマーケティングの支援強化、朝夕の魅力的なコンテンツの開発による「プラス1泊」の促進などを列挙。教育旅行については、受入に対する助成拡大などに加えて、学生のビザ取得要件の緩和なども提案し、現在は取得が義務付けられているが今後の伸びが見込める主な国としてインド、インドネシア、フィリピン、ベトナムを挙げた。
なお、会見に同席したJATA理事・事務局長の越智良典氏は、同協会が海外旅行の振興についても新たな提言をまとめたことを明らかにした。詳細は今月30日に開催する記者会見で発表する。