フィンエアー、21年まで2桁成長へ-就航35周年、羽田にも強い意欲
フィンエアー(AY)社長兼CEOのペッカ・ヴァウラモ氏は3月14日、本誌取材に応じて日本市場の好調さを語るとともに、2021年までは年率10%の成長を継続していく方針を示した。また、AYは今年4月末で日本へ就航35周年の節目を迎えることから、同日に東京で旅行業界関係者を中心に200名超を招いたレセプションを開催。ヴァウラモ氏はこの場でも、「我々が重視するアジア戦略において日本は中心的な役割を果たす」と語り、日本市場への前向きな姿勢を強調した。
AYは35年前に週1便で就航したが、今夏ダイヤは成田、関空、中部、福岡へ週31便を運航し、日欧間の便数ベースでは最多の便数を運航する航空会社となる予定(3月14日現在)。またヘルシンキは、日本航空(JL)の週7便を加えると日本からの週間便数が最大38便となり、パリに次ぐ欧州2位のゲートウェイとなる。
また利用実績でも、ここ数年は座席数を毎年10%以上追加してきているが旅客の伸びも伴っているといい、例えば17年のロードファクターはアジア路線全体で86.7%に達したが、日本は「さらにそれよりも上」の水準であるという。
一因として、以前は2割程度に留まっていた欧州発のインバウンド比率が約35%に拡大。これに対して、日本市場での販売額もフィンランドに次ぐ2位の座を維持するなど、イン/アウトで良好なバランスが取れているという。
21年に向けては、A330型機からA350型機への変更で座席が約1割増えるほか、乗り入れ地点の増加も積極的に検討。特に羽田空港についてヴァウラモ氏は、「我々は長きにわたって就航を希望してきている」とし、「欧州から日本へ直行便を就航した初の航空会社でもあり、是非スロットを配分してほしい」と訴えた。
一方、欧州域内でも路線網の拡充を継続。毎年5地点以上に路線を開設しており、直近ではレイキャビク線の運航を開始したほか、リスボンとシュトゥットガルトへの復便も控えており、日本市場でも販売に力を入れていく方針だ。
このほか日本市場向けのサービス改善策として、この2月には成田線ビジネスクラスで初めて日本人シェフの監修による和食メニューを導入。反応を見ながら今後も他の日本路線への展開を検討していくという。
▽NDCは“研究中”も、旅行会社に配慮
航空業界では昨今、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)やブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が国際航空運送協会(IATA)の主導する「NDC(New Distribution Capability)」の規格を使ってGDSを介さない独自の予約経路を用意するなど、流通へのアプローチに変化が見られる。
こうした流れについてヴァウラモ氏は、「AYはNDCのアーリーアダプター」であるとし、AYとしては「将来的に様々な航空会社が様々なITシステムを導入するなかで、それぞれの間でのコミュニケーションが可能であるようにしておくためのもの」と捉えていると説明。
そのうえで、LHやBAの動きは「状況を注視している」としつつ、「そこでリーダーになろうとは思わない。センシティブな分野でありショックを起こしたくもない」と、旅行会社に配慮する姿勢を示した。日本における旅行会社経由の販売比率は9割を超えるという。