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週間ランキング、1位はクラツーの「終活」、オランダ「飾り窓」も

クラブツーリズム ロゴ
(同社ウェブサイトより転載)

[総評] 今週の1位は、クラブツーリズムの「終活」関連事業についての記事でした。インタビューでお聞きした内容の一部を先行してお届けしたものですが、クリック数が2位の倍以上となるなど皆様のご関心が非常に高い様子が見受けられます。

 死はすべての生物に等しく訪れるものであり、人生は死への旅路であるとも言え、そうなるとその旅の集大成に旅行会社が関わることになんら不自然さはありません。言うまでもなくクラブツーリズムはシニア層を多く顧客に持ち、2012年に関連事業を開始されたのは当然の帰結だったのしょう。

 話題が話題であるだけに、なんとなく「早く死ねとでも言うのか」だとか「不謹慎だ」といった苦情が来てしまうのではないかと心配してしまいますが、勝手に「忖度」して可能性を狭めるのは良くない癖でしょう。お客様の評価を得られるかどうかはやってみなければ分からないわけで、むしろそういった境界線に近い部分にこそ可能性があるのかもしれません。

 9位にはアムステルダムの「飾り窓地区」についての記事がランキングしていますが、これにしても普段は隠されている本音と建前のきわどい境界が目の前に姿を表しているようなものです。

 セックスツーリズムが業界でおおっぴらに語られることはありませんが、その対象が未成年であったり人身売買が関わっていたりしないなど条件が揃えば違法なものではなく、旅行目的の一つとして旅行市場を裏から支えています。もちろん褒められたものではありませんが、その存在を否定しようとするのも愚かしいことでしょう。ニーズとは欲であり、食欲と同じく性欲も生物としては極めて自然な欲求です。

 そうした中で例えば、今や日本の玄関口である羽田空港でも販売される男性用マスターベーショングッズ「TENGA」が、革新的な商品づくりやマーケティングによってその世界に明るさと健全なイメージをもたらしたように、真にサステイナブルなセックスツーリズム(そんなものがあり得るのかはさておき)をめざそうという旅行会社があってもいいように思います。

 ご批判もかなりありそうですが、言い訳をするとそこに焦点を当てることが本意ではなく、考え方として不謹慎であるとかタブーであるとか、そういった発想から自らを解き放てるようになっておくことの重要性を指摘したいのです。

 また、別の視点で考えると最近流行りのAIも、不勉強ではありますが、きっと欲を持つことはないはずです。そう見えるように仕立てることはできるとしても、「それをするためならば多少の不合理くらい無視してしまう」というようなことが自然に起きるはずはなく、そういった部分にこそ人間が果たす役割があるように思います。

 理性が人間にとって重要であることは述べるまでもありませんが、例えばトランプ大統領のあれこれを見るにつけ、本能むき出しで直感や欲に忠実な言動を前にすると、理性的であることが往々にして無力さを露呈する時代であると感じられます。彼のようになりたいわけでもなれるわけでもないものの、そうした傾向を理解しておくことは今を生き抜く上でとても大切ではないでしょうか。

 ちなみに、今週はランク外ながらAirbnbの記事もお届けしました(リンク)。彼らも「誰が知らない人間を自宅に泊めるんだ」の世界からスタートしてたったの10年で3兆円企業に育ったわけで、今はきわどく不謹慎に思われる分野でも、もしかするとあっという間に新しいビジネスが成立しメインストリームに躍り出るかもしれません。

 Airbnbの記事では、彼らがブティック・ホテルやB&Bの掲載を開始することをご紹介していますが、業界側からすれば民泊からの領海侵犯であったとしても消費者の目線では同じ「泊まる場所」であり、おそらくすんなり受け入れられるでしょう。常識にとらわれず消費者がより好ましいと思うものを突き詰める、日本的にいえば「マーケットイン」の発想がこれまで以上に求められているのではないかと感じています。(松本)

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