タビックスや東日観光など4社の持株会社設立-タイヘイが旅行事業強化
食品関連事業などを展開するタイヘイグループは1月9日、子会社であるタビックスジャパンなどの旅行会社4社を統括する持株会社「T-LIFEホールディングス」の設立を発表する。タビックスジャパン、東日観光、トラベルイン、湯旅の4社による旅行事業の経営資源を最適化して訪日旅行や教育旅行、バリアフリー旅行などの拡大に取り組み、旅行事業を成長の柱の1つとして強化する考え。本誌の取材に応えた元トップツアー代表取締役社長で現在はタイヘイの旅行グループ顧問を務める石川邦大氏によれば、一時は4社の合併も検討したものの、引き続き各社の特色を活かすために持株会社制を選択し、営業や販売の機能をそのまま残したという。
4社はそれぞれ、1992年から2016年にかけてタイヘイグループ入り。主力会社のタビックスジャパンは全国に55支店、海外に1支店を持ち、年間の取扱人数は約70万人に上る。同社に次ぐ主力の東日観光は教育旅行や訪日旅行などが強みで、年間取扱人数は37万人。トラベルインはスキー・スノーボードツアー、湯旅は教育旅行を専門に取り扱い、それぞれ年間15万人、6万5000人を取り扱う。2015年度の4社の取扱額の合計は約520億円。
新たな持株会社は東京の中央区に置き、4社の計750名超の社員うち100名が移籍して、4月1日から業務を開始する予定。4社で重複する仕入・手配機能や人事などの管理機能を集約するとともに、各社の営業の支援や、個人旅行の販促に向けたウェブの管理なども担う。また、業務開始にあわせて4社の業務をカバーする新たなシステムも導入し、各社の業務を段階的に効率化する。なお、当面は再編に伴う人員の増減はないという。
石川氏によれば、4社の年間取扱人数の合計は約130万人に上るものの、これまでは各社間における販路の共有などは限定的であったため、今後は持株会社が一部の商品の造成などをおこない、各社の販路を有効活用する考え。また、一部の会社では発券できなかった交通機関のチケットなどを各社の旅行商品に組み込み、グループ全体で旅行商品の拡充をはかるという。
同社グループによれば、今後は各分野においてコンサルティングや、募集型企画旅行の営業力を向上させ、2年から3年後には「強みを活かして特定のジャンルでナンバー1をめざす」との考え。例えばタビックスジャパンと東日観光が扱うバリアフリー旅行においては、取り扱う対象を従来の団体のみから個人にも拡大するほか、トラベルインのスキーツアーを東日観光が取り扱う訪日客向けにも提供して、存在感を示したいという。