20年に向け体制強化、「新たな価値」の創造も必須-年頭所感(2)
▽ANAホールディングスCEO 片野坂真哉氏
今年は米国・欧州・中国・アジアそして日本のいずれの地域においても「世界同時成長期」にあると言われている。そのような機会を的確に捉えて、社員の活力を最大限に引き出し、成長投資を続ける。成長へのビジョンを取りまとめた2022年度までの新たな中期経営戦略を近く発表する予定だ。
新たな中期経営戦略は「エアライン収益基盤の拡充」「既存事業の選択と集中」「イノベーションの活用による商品・サービスの刷新と人財育成」の3つの柱からなる。期間中にはA380型機のハワイ線就航や、総合トレーニングセンターの新設、政府専用機のハンドリング開始などを予定しており、20年には東京五輪が開催される。羽田・成田の首都圏空港容量の拡大も予定されており、B777-9X型機、MRJなどの新機材の導入で成長を加速させる。
高齢者やお体の不自由な方々に加えて、世界中のお客様に快適にご利用いただけるユニバーサルなサービスも追求する。また、マーケティングから顧客接点のあらゆる場面において、AIやICT技術を活用した新しいアプローチを展開する。
今年において「世界のリーディングエアライングループ」になるためにすべきことは、「安心と信頼」を基礎にすること。昨年に発生した不祥事やオペレーションでの不安全事象などへの対応や対策に一丸となって取り組み、信頼を回復し、足元をしっかりと固める。
今年の経営目標を1文字で表すとすれば「A」で、トランプでは「エース」を意味するが、安全においてもサービス品質においても改めて1番をめざす。健康診断の「A」としては、社員の健康作りにも注力する。そして何よりもAは「ANAグループ」のシンボルであり、コーポレートブランドにおける「あんしん、あったか、あかるく元気!」をすべての方々に感じていただくために、社員1人ひとりが技能・技量を磨いて、エースをめざす。
▽日本航空代表取締役社長 植木義晴氏
昨年に発表した2020年度までの中期経営計画では、世界のお客様と地域社会のために、「『世界のJALに変わります』×『一歩先を行く価値を創ります』=『常に成長し続けます』」というビジョンを掲げ、その実現に向けて商品・サービスの拡充、業務プロセス改革、最新技術の活用などに取り組んだ。今年も引き続き「フルサービスキャリア事業の磨き上げ」に取り組み、安全と高品質なサービスに必要な費用を投じながら、一歩ずつ着実に進み、グローバルな変化に対応できるよう新たな挑戦を続ける。
また、昨年は働き方改革の一環として、仕事(work)と休暇(vacation)を組み合わせた「ワーケーション」を推進し、休暇を取りやすい制度の充実と風土の醸成にも取り組んだ。今後も社員がより働きやすい会社をめざして、さまざまな取り組みにチャレンジする。今年もグループの全社員が心を1つにしてお客様の気持ちに寄り添ったサービスを提供し、「世界で最もお客様に選ばれ、愛される航空会社」になれるよう、一歩ずつ歩みを進める。
▽Airbnb Japan代表取締役 田邉泰之氏
2016年11月には宿泊に限らず旅行全体に事業拡大をはかるプラットフォーム「Trips」を発表し、17年には日本でも本格展開を開始した。これまでに26ヶ国の40以上の都市で「体験」を提供しているが、おかげさまで東京は世界有数の人気都市に成長している。17年は日本を代表する企業や自治体とのパートナーシップを締結し、安心・安全な民泊サービスの開発などに取り組んだ。18年にはさらなる連携の拡大をめざしている。
6月には住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行が予定されており、日本国内におけるAirbnbのビジネスは大きな節目を迎えるので、感動を生む新しい旅のスタイルを日本全国で生み出していきたい。また、ホスピタリティ分野での起業や副業、理想の人生設計やライフスタイルを実現する「新しい働き方」の1つとしてもAirbnbを活用いただけるよう、サービスの開拓やサポートに努めたいと思う。