JTBの18年予想、海外は1.7%増の1820万人、訪日は3200万人に

  • 2017年12月21日

 ジェイティービー(JTB)は12月21日、2018年の旅行動向見通しを発表した。海外旅行者数は17年見込み比1.7%増の1820万人、国内旅行者数は1.8%増の3億1120万人、訪日旅行者数は12.3%増の3200万人を予想。調査は日本人の宿泊を伴う旅行と外国人の訪日旅行について、各種の経済動向予想や消費者行動調査、JTBグループが実施したアンケート調査などから推計したもので、今回が39回目となる。

 同社は17年については、景気は概ね回復基調にあり、為替変動による旅行への影響なども少なく、旅行しやすい環境にあったと総括。その上で、国民の節約志向が継続していることも指摘し、海外旅行者数は前年比4.6%の1790万人、平均消費額は2.8%減の24万1900円、国内旅行者数は3.0%増の3億570万人、平均消費額は0.3%増の3万5210円、訪日外国人旅行者数は18.3%増の2850万人と推計した。訪日外国人旅行者の平均消費額については算出していない。

 18年の海外旅行については、今年2月の燃油サーチャージ徴収開始が旅行者数に与えた影響が軽微であったことから、来年2月の徴収額引き上げによる影響も限定的と予想。年間の国際線座席数を17年見込み比4.7%増と推計した上で、訪日客増加の影響も勘案し、年間の海外旅行者数は過去最高の12年に次ぐ1.7%増の1820万人、平均消費額は0.5%の24万3100円、総消費額は2.1%増の4兆4200億円と推計した。

 なお、6月のエア・カナダ(AC)の成田/モントリオール線就航など、FSCによる新たな遠距離路線開設の動きがあるなか、一方で旅行費用の節約を後押しするLCCの拡大も続いていることにより、旅行先については引き続きアジアなど近距離方面中心の傾向が続くとしている。富裕層やシニア以外にも利用者が広がるクルーズの人気も、継続するとの見方を示した。

 国内旅行については、景況感の改善や休暇取得促進などから旅行者数の増加が見込まれる一方、節約志向や民泊解禁による宿泊施設の混雑緩和、安価なLCCの定着などから、旅行者数は1.8%増の3億1120万人、平均消費額は1.4%減の3万4700円、総消費額は0.4%増の10兆8000 億円を予想。旅行者の増加要因としては宿泊施設の多様化、観光列車人気の継続などを挙げ、あわせて明治維新150周年やNHKの大河ドラマ「西郷どん(せごどん)」などのゆかりの地が注目を集めるとしている。

 18年のGWは最大で9連休が可能。一方で、8月のお盆期間は山の日と土曜日が重なり、9月に2回の3連休があることなどから、夏休みは分散しやすく、長い休みは取りづらいという。GWや年末年始を除く週末の3連休は今年と同数。

 訪日旅行については、国が「明日の日本を支える観光ビジョン」に沿って進める各種施策による環境整備などにより、旅行者が順調に増加すると予想。ただし、今年は大きく増加した韓国人の伸びが落ち着くことなどを勘案し、訪日外国人旅行者数は12.3%増の3200万人と推定した。増加の要因としてはLCC路線および便数の増加、クルーズ船の寄港増、6月の民泊の全国解禁、7月の消費税免税要件の緩和、AIやVRなどのICTによるサービスの進化やストレスの軽減、フリーパスなど企画乗車券の増加などを挙げている。