オーストラリア、「企画力の強さ」でMICE市場開拓を強化
オーストラリア政府観光局(TA)はこのほど、「オーストラリアMICEセミナー」を開催し、TAをはじめ各州観光局および航空会社がMICEマーケットへの取り組みを説明した。セミナーにあわせて弊誌とのインタビューに応えたTA日本局長の中沢祥行氏は、「MICEをオーストラリアで主催する価値を伝えていく」と話し、2020年のオーストラリアへの日本人旅行者数70万人の目標に向けて、MICEマーケットの開拓に力を入れていく考えを示した。
TAでは、シドニーのコンベンションセンターが新設されるなど主要都市でのMICEベニューが拡充しているほか、日豪路線が拡大していることから、MICEへの取り組みを強化。オーストラリアのメリットである安全性、時差、快適な気候、自然や体験などをアピールしていくとともに、「企画力の強さ」(中沢氏)を強調していく考え。中沢氏によると、「たとえば、空港から遊覧ヘリコプターを飛ばせるなど、オーストラリアは比較的規制が緩やかなため、さまざまな企画を実現することが可能」だという。
また、競合MICEデスティネーションと比較すると、コスト高が懸念されるが、中沢氏は「安売りは考えていない。質のいい素材を提供して、満足度を高めていく。企業のインセンティブなどでは社員のモチベーションをあげていくことが大切」との考えを示した。
TAは、今年12月にMICE向け商談会「ドリームタイム」をブリスベンで開催する。日本からも10社程度の旅行会社が参加する予定。中沢氏は「インセンティブ向けのアトラクションや体験を見てもらい、新しい企画に役立てて欲しい」と呼びかけた。
TAのセミナーでは、安全性、時差、気候、航空座席の増加、多様なプロダクト、充実したインフラ、質の高い食事を訴求ポイントとして挙げ、アボリジニ文化、ワイナリー、オーガニック商品などオーストラリアでしか体験できない素材も多いと説明。また、現在のところ698社の日系企業がオーストラリアに進出し、オーストラリアから日本の輸出額は全体の17%を占め、第2位の市場になっていると説明したほか、姉妹府県は6都府県、姉妹都市は102都市にのぼっていることも紹介され、両国間の関係性の深さを強調した。このほか、帆船やワイナリーなど豊富なユニークベニュー、クッキングスクールなど多彩なチームビルディング素材も強みとアピールした。