ニューヨーク、再開発中のマンハッタン訴求、17年は33万人へ

  • 2017年7月30日

ニューヨーク市観光局のメンバーと来日したサプライヤー  ニューヨーク市観光局はこのほど、都内で旅行会社などを対象にセミナーと商談会を開催し、現地からホテルなどのサプライヤー9企業・団体が来日した。同市グローバルツーリズム開発担当上席副局長のマキコ・マツダ・ヒーリー氏は業界紙のインタビューに応え、旅行者が集中するマンハッタン以外への誘客に引き続き注力する考えを示した上で、今後は改めて、再開発が進むマンハッタンのアピールを強化する方針を示した。

 同氏は日本市場について「非常に安定しており、消費力が強く、知的好奇心の高いマーケット」と述べ、その重要性を強調。16年の日本人訪問者数は前年比2.2%増の32万5000人だったが、17年はレジャーに加えてビジネスやMICEなどの団体にも注力し、1.8%増の33万1000人をめざす。

ヒーリー氏  マンハッタンへの誘客について同氏は「ミッドタウンの、特にタイムズスクエア周辺でアトラクションが増えている」とアピール。今年5月に開業した、世界の名所をミニチュア化したテーマパーク「ガリバーズゲート」や、10月に開業予定のVR体験施設「ナショナルジオグラフィック エンカウンター:オーシャンオデッセイ」などを新たな観光施設として伝えた。

 加えて、レジャーやビジネス、MICEなどすべてのセグメントの増加に影響することとして、ニューヨーク市全体でホテルの開発や無料WiFiスポットの整備が進んでいることを説明。ホテルは現在の11万3000室が21年までに13万7000室に増え、無料WiFiスポットについては現在の500ヶ所が24年までに7500ヶ所まで拡大することで「水や空気と同じ、当たり前に手に入るものになる」という。

 同市については、4月から日本航空(JL)が39年ぶりに羽田線を再開したところ。ヒーリー氏は羽田線について「航空会社からも旅行会社からも非常に調子が良いと聞いている」と説明。その上で「就航の大きなポイントは地方からのアクセスが良くなったこと」と述べ、今後はウェビナー(インターネットによるセミナー)の実施などで地方の旅行会社への情報提供を強化し、さらなる商品造成につなげたい考えを示した。

 ヒーリー氏はそのほか、先ごろ米国大統領にドナルド・トランプ氏が就任したことで、観光への影響が懸念されていることにも言及。「トランプ大統領はさまざまな宣言をしたが、すべてが決定事項として実行されているわけではない。日本の旅行業界の方にもきちんと状況を把握してもらいたい」と強調した。

 同局では、すでにトランプ氏によるさまざまな影響に備えて、グローバルキャンペーン「Welcoming the world」を展開しているところ。「日本を含めて、数字に顕著な影響が出ているマーケットはないが、もしもの場合に備えて『ニューヨークはニューヨークであり続けるし、世界中からの人を歓迎する』というメッセージを強く打ち出している」と説明した。