週間ランキング、LCCハワイ就航続く-AGTの「主体性」に期待
[総評] 今週の1位はスクート(TR)が関空/ホノルル線に就航することを決めた記事でした。ハワイは、いうまでもなく日本の旅行業界にとって特別な意味を持つデスティネーションです。トラベルビジョンがハワイ州観光局(HTJ)とのタイアップで過去に掲載した特集(「日本人の海外旅行時代の幕開け-ハワイの歴史(4)」)では、「一生に一度は行ってみたい夢の島」がジャンボジェットによって「手を伸ばせば実現できる憧れ」となり、原稿では「一番行きたい外国」と書いていますが、今や海外旅行のスタンダードあるいはベンチマーク、つまり海外旅行と聞けば一番に思い浮かぶようなデスティネーションとなっているように思います。
特集を読み返していて、1961年に放映されたというサントリーウィスキーのテレビCM「トリスを飲んでハワイへ行こう!」についての部分が目に止まりました。トリスウィスキーや同じくサントリーの角瓶などで作るハイボールは、現在では取り扱っていない居酒屋を探す方が難しいほど定着していますが、この特集を公開した2009年1月はそのブームにようやく火が着いたか着けようとしていた頃でしょう。
当時を思い出すと、居酒屋のポスターやノボリをぼんやり眺めながら「なんだか最近ずいぶんハイボールとかいうのを押しているな」などと感じていたわけですが、まさか8年後にこうなっているとは想像もしていませんでした。
気になって調べると、プレジデント社の「PRESIDENT Online」で、当時のサントリーの状況や仕掛けについて紹介された記事がありました(「「ハイボール」25年目の大逆転ホームランを生んだ上司のひと言 -サントリー ウイスキー部課長」)が、この8年間で旅行業界にどれほどの「ホームラン」があったかと自問してしまいます。
もちろん、オンライン流通の拡大で勢力図は様変わりしているわけですが、いわゆる「リアルエージェント」はどうでしょうか。
「業界の再編や変化を意識した対応を今しなければならないと感じておられる方が、本当に増えてきたのではないか」、「旅行会社の組織、あるいは仕事の『流れ』を変えなければならない」、「旅行会社は代理販売から必然的に変わらなければならず、(中略)店頭でも企画能力に近い高いスキルが要素として求められる」――これらの文は前編集長が2008年頃に当欄に載せていたものですが、最近自分が書いたものと言われても判別できそうにありません。
逆にいえば、たしかにこの10年ほど、危機だなんだといわれながらあまり業界規模も縮小させずに生き残ってきていることを過小評価するべきでもありません。しかし、だからといって次の5年、10年にも同じことを期待するのは誤りです。
ハイボールの「ホームラン」を考えると、変化を待つのではなく行動することの重要性を痛感しますが、その意味では第2位に入ったクラブツーリズムによるアイルランドへの直行チャーターの設定は大変ユニークです。235席が完売ということで、記事中でもアイルランド政府観光庁長官が話されているように取り組みのさらなる拡大に期待がかかります。
業界について未来を予測しようとすると外部要因ばかりに意識がいきますが、「どうなるか」ではなく「どうするか」「どうしたいか」、つまり主体性が大切なのではないでしょうか。例えばLCCが海外旅行の本丸ともいうべきホノルルに乗り入れるなかで、旅行会社として「どうしたいか」考えたいものです。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年07月21日0時~07月28日12時)
第1位
◆スクートも関空からホノルルへ、18年6月までに路線開設(17/07/25)
第2位
◆日本初、アイルランド直行チャーター実施へ-政観「市場見直す」(17/07/23)
第3位
◆インタビュー:ジャパネットホールディングス執行役員の茨木智設氏(17/07/26)
第4位
◆HIS、国内ホテルに「直販支援サービス」、目標1万軒(17/07/25)
第5位
◆旅工房、三菱東京UFJ銀行から総額5億円の資金調達枠確保(17/07/26)
第6位
◆ソラシド新社長、19年度の国際線開設に意欲、機材導入へ (17/07/24)
第7位
◆チャイナエアライン、成田/桃園線増便、HNL線は季節便に(17/07/23)
第8位
◆プロジェクト「国境に行こう」始動-内閣府が離島観光支援(17/07/27)
第9位
◆エールフランスが新会社設立へ、ミレニアル世代向け(17/07/24)
第10位
◆キャセイ、日本支社長職を台湾・韓国と統合、8月1日付(17/07/24)
※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
◆人事、日本旅行管理職、8月1日付(17/07/26)
◆移転、ハワイアン航空(17/07/23)