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石川の温泉旅館「喜多八」が破産、負債10億円

  • 2017年7月27日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、石川県の粟津温泉で旅館「喜多八」を運営していた喜多八は7月20日までに事業を停止し、弁護士に破産手続きを一任した。負債総額は金融債務を中心に約10億円。

 同社は1954年に設立。有名俳優を起用したテレビCMや、別館の増築などが奏功し、96年6月期には約8億4000万円の売上高を計上した。しかしその後は、長引く不況による個人消費の停滞や団体客の減少、粟津温泉自体の集客力の低下などにより、15年6月期には売上高が約2億5000万円にまで低下。また、過去の赤字により債務超過に陥り、設備投資の負担などから多額の金融債務を抱え、資金繰りが逼迫していた。

 16年6月期には、15年の北陸新幹線の開業による特需を受けて、売上高が約2億7000万円となるなど減収に歯止めがかかったものの、財務体質を改善するには至らず、16年3月には同社に対する債権を金融機関が債権回収会社に譲渡。17年6月期に入ってからは新幹線の開業効果も薄れ、業績の見通しが立たず、今回の措置となった。なお、旅館の不動産および経営権は6月8日までに他社に売却し、営業を継続している。