フィンエアー3年目の大規模ファム、一層の地方送客を推進

  • 2017年7月19日

ヘルシンキからの多彩なエクスカーションを提案

クルーズ船でおこなわれたプレゼン大会

ヘルシンキ/タリン間を結ぶクルーズ客船「シリアエウロパ号」。22時間で往復し、タリンでは4時間ほど散策を楽しめる

 こうして研修を終えたチームはクーサモ空港からヘルシンキへ戻り、他のチームと合流。ヘルシンキ港からクルーズ客船「シリアエウロパ号」に乗船した。北欧のクルーズで人気のタリンクシリア社がヘルシンキとエストニアのタリンとの間で運航しているクルーズ船で、出航後、すぐにシアターでプレゼン大会が始まった。

6チームに分かれて各地を視察したメガ研修旅行。ヘルシンキ近郊からバルト三国まで、ヘルシンキを中心に幅広いエリアを視察した ©OpenStreetMap

 プレゼンは、各チーム10分で研修成果を説明するもので、北カレリアチームは、ヨエンスーでのスパ体験やピエリネン湖でのボート・ハンモック体験などを紹介。リトアニアチームは、おもちゃ箱のように美しいビルニュスの町やトラカイでの川下りクルーズのほか、大空に舞い上がる気球体験を、動画を交えて伝えた。

シアターで行われたプレゼン大会。各チームともバスや飛行機の中で準備することになったが、それが無駄をそぎ落としわかりやすくなるという結果を生んだ

 一方、「タリン行きの船に乗るのは今回2度目」というエストニアチームは、街全体が世界文化遺産に登録されているタリンを「絵本の世界」と表現し、カラフルな雑貨やスイーツを詳細にレポートして「女子のハートを射抜くアイテム」と提案。ラトビアチームは、ソ連からの独立運動に際して1989年に発生した「人間の鎖」縁の地や、ヨーロッパ一幅が広いと言われるヴェンタ滝などをユーモアたっぷりに紹介した。

 そしてハメーンリンナ・タンペレチームはヴェネヤヴェシ湖(Vanajavesi)の湖畔に位置する複合リゾート、ペタイスリゾートやハメーンリンナ市内にあるフィンランド三大古城のひとつ、ハミ城などを紹介。特にハメーンリンナを、ヘルシンキから近く、本場のサウナと自然を体験できるうえに人気の高い「イッタラ」の工場もあるスポットとして高く評価していた。


横のつながりが商品造成に役立つ

石窯を6時間以上燻す伝統サウナ。石に水をかけるたびに水蒸気が上がり、上段の温度は約90度にもなる。タオルや水着の着用も可能で、一度に15人入れる

 総評と審査発表はレストランに場所を移しておこなわれた。永原氏は、「時間がない中で魅力的なプレゼンをしていただき、ヘルシンキを中心に、フィンランドからバルト三国まで、幅広いエリアの魅力を共有できたと思う。AYは、フィンランドだけでなく周辺地域を含めてホームマーケットのストラテジーとして考えており、今後も深く掘り下げていきたい」と総括。今後の課題として男性層の掘り起こしを挙げた。

サウナで汗をかいた後は、目の前の湖へ。大人なら足がつく程度の深さで、慣れると気持ちよい。宿泊も可能だ

 「例えば伝統サウナは男性にとっても魅力的な素材となりうる。近年では、軽井沢などの別荘にフィンランドサウナが設置される例もある。森の中の湖でリフレッシュできる、フィンランドならではの魅力を訴求していきたい」という。

 一方、能登氏も、「フィンランドは本来夏がベストシーズン。サウナを含む森と湖体験、湖水クルーズといったアクティビティを楽しめ、フィンランド人の底抜けに明るい気質に触れることもできる」と市場の拡大に意欲を示した。

「ロヴァニエミ・ルカ」チームのメンバー

 短時間でのプレゼン制作を経験した結果、参加者同士が通常のファムツアーより強い絆を感じたこともメガ研修旅行の成果だ。担当者間の横のつながりが強まり情報交換が活性化すれば、日本/ヨーロッパ最速ルートという利点と相まって、より多彩で魅力的な商品が生まれてくることだろう。



取材協力:フィンエアー、フィンランド政府観光局
取材:栗原景