南アフリカ、近隣諸国と連携で観光促進、中小企業や女性の活躍も支援
「I / WE DO TOURISM」で国民の意識を醸成
中小事業者支援の取り組みに手応え
日本を含むアジア市場を開拓
アフリカ周遊ツアーにも注力
2016年、世界から南アフリカへの旅行者数は、前年比12.8%増の1004万4163人を記録した。アフリカ西部で流行したエボラ出血熱の風評被害を受けて前年比6.8%減の890万3773人に留まった15年から大きく回復、14年の数字も上回ったことになる。
同国では、昨年すでに、今後5年以内に国内外からの旅行者数を500万人増やす目標を掲げた「5 in 5 観光成長戦略」を推進する計画を発表しているが、この目標達成に向け、中東及びアジア地域など新興市場の開拓にも尽力していく考えだ。南アフリカ観光局によれば、2016年の日本人訪問者数は前年比27.7%増の2万5802人。12カ月すべてにおいて前年を上回る結果となり、エボラ出血熱の風評被害により激減した15年から大幅に回復している。
中国、韓国、日本を統括する南アフリカ観光局アジア太平洋地区プレジデント、ブラッドリー・ブラウワー氏は、日本人旅行者数の今後の推移に対して「楽観視している」との見方を示した。日本市場に対しては今後、テレビを中心としたメディアへの露出を積極的に進める予定で、「まずは南アフリカを広く知ってもらうことが大事」と語る。
さらに同氏が注目するのはMICEマーケットだ。「南アフリカには日本の大手企業も多数進出している。今後は、こうした企業に会議及びその前後のツアーの提案をしていきたい」と語り、日本からの訪問者数の押し上げに結びつけたい考えだ。
日本からのツアーでネックになる要素のひとつは、物理的な遠さにある。日本を含むアジアのメディアとの会見の中で観光大臣のカーサ氏は、「南アフリカでは常に新しい魅力が発見できる場所。アジアのように遠方からの旅行でも訪れる価値があるデスティネーション」と語るとともに、今後の戦略として「南アフリカだけではなく南部アフリカを周遊するツアーの促進に注力していく」考えを示し、その施策のひとつとして周遊ツアーガイドの育成を挙げた。
なお、今年のINDABAには日本から旅行会社9社が参加。参加者からは「日本でも情報は得られるが、玉石混合。実際に人と会って価値を確かめられる有意義な機会」と歓迎する声が多く聞かれた。「リピーター向けの商品を作る際には、欧米の旅行者の嗜好を知ることも有効。出展者からそうした情報を得るにもINDABAは有益」と語ってくれたのはアフリカのリピーター向けの商品を毎年企画しているという企画担当者。「数年分の素材が集められた。収穫は大きい」と声を弾ませた。
来年の開催日程は2018年8、9、10日。今年同様、ダーバンでの平日開催となる。開会式で、向こう5年間のダーバン開催決定が発表されたことを受け、歓迎する意向を示したダーバン市長のザンディレ・グメデ氏は、「ダーバンをINDABAの恒久開催地とすべく5年間でさらに質の高い場所にしたい」と抱負を語っている。快適さを増した街で、さらに有意義なイベントが行われることを期待したい。
取材・文:佐藤淳子