旅行業公取協、てるみ問題受け「消費者の信頼回復へ」
旅行業公正取引協議会(公取協)は6月27日、都内で第33回の通常総会を開催した。会長の菊間潤吾氏は冒頭の挨拶で、3月のてるみくらぶの大型倒産について「消費者の被害総額だけでも100億円を超す。消費者の信頼を大きく揺るがす事件」とコメント。今年度は同会として「消費者の信頼回復に重きを置いた情報発信に注力するとともに、引き続き公正競争規約の適正運用と周知徹底をめざす」との考えを示した。
本誌の取材に応えた菊間氏は「(てるみくらぶ問題で)消費者の広告への見方が厳しくなっている」と語り、「旅行会社は今まで以上に自らを厳しく律しなければならない」と強調。広告表示などについては「消費者目線の徹底」を訴えた。今年度は過去に注意や警告を受けた会社について、事例の詳細や措置などの情報を会員各社に提供し、再発防止に取り組むという。なお、この日の総会で菊間氏は会長続投が決定した。任期は2年。
公取協によれば、16年度の会員会社の公正競争規約違反は前年比1件減の8件。広告の不当表示やおとり広告、不当な二重価格表示などさまざまな事案があったという。措置の内訳は口頭注意が3件、文書注意が3件、警告が2件。例えば昨年の5月には、ウェブサイトで「韓国、台湾、ベトナム、バリ島、マルタ島、ポルトガル激安!オンライン予約限定ツアー9800円~燃油込」などと表示した広告を掲載していた旅行会社に対し、実際に9800円から販売していたツアーは韓国と台湾のみだったことから、文書で注意をおこなっている。
16年度の相談件数は前年比1.4%増の646件だった。会員会社からの相談は6.2%増の478件で、自治体関連の復興支援などを目的とした企画旅行商品の旅行代金の表示に関する相談が多かったという。このほか、非会員からの相談は25.0%減の33件、旅行業協会関連は27.6%減の21件、自治体や消費者からの相談は3.5%減の56件などとなった。
内容別では、表示に関する相談が3.9%減の393件と最も多く、次いで景品に関する相談が7.4%減の113件、関係法令に関する相談が6.7%増の96件となった。表示については旅行代金に関する相談が、景品については一般消費者に提供する景品類に関する相談が多く寄せられたという。
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