ギリシャ、2年ぶりのセミナーで現況報告、今後もプロモに意欲
駐日ギリシャ大使館はこのほど同大使館内で、約2年ぶりとなる旅行会社向けセミナーを開催した。当初は会場として大使公邸を予定していたが、参加者数が当初の想定を超える約40名に上ったため、会場を変更して実施したもの。同大使館の青木恵子氏は、ギリシャが経済危機に陥った2009年以降も全世界からの訪問者数は順調に伸びており、16年は2500万人にまで達したことをアピールするとともに、参加者には積極的な商品造成を訴えた。
青木氏は好調の要因として「治安の良さ」を挙げ、経済状況の悪化にもかかわらず観光には大きな影響が見られないこと、一時期は100万人近くにまで増えたシリアなどからの難民が、近年では数万人に減少したこと、欧州各国で頻発しているテロ事件が同国では発生していないことなどをアピールした。経済危機によって発生したデフレにより、ホテル代などが一時期安くなったことも要因の1つに挙げられるという。
09年に財政赤字の粉飾が明らかになって以来、ギリシャ経済は低迷しており、15年には債務不履行やユーロ離脱の危機に陥った結果、銀行預金が大量に流出して銀行が一時的に閉鎖されるなどの混乱が見られた。失業率の高さなどから治安の悪化を懸念する向きもあるが、青木氏によれば「経済危機に陥った当初こそ暴動などが発生したが、7年以上が経過した現在では落ち着きを取り戻している」という。
日本人旅行者数については、シェンゲン協定による出入国管理の省略などにより「正確な数値は分からない」と前置きした上で、「一時の減少傾向からは回復し、近年は2万人弱で横ばいが続いているのでは」と説明。現在の課題としては、13年末の政府観光局の日本事務所閉鎖後は大使館が業務を引き継いだものの、満足なプロモーション活動ができていないことを挙げた。
今後のプロモーションについては「引き続き、できる範囲でセミナーなどを開催したい」との考え。ここ数年は毎年、ターキッシュエアラインズ(TK)やギリシャ旅行などを手がけるランドオペレーターのアンフィトリオン・ジャパンなどの協力を得てFAMツアーも実施しており、今年も10月にギリシャ北部を巡るツアーの実施を予定する。
本誌の取材に応えたアンフィトリオン・ジャパン代表取締役の鈴木学氏はギリシャ観光の現況について、「欧州からの訪日旅行者の増加で座席が取りにくくなっているのが課題。団体などはお断りせざるを得ないこともある」と語った。一方でFITについては増加傾向にあり「サントリーニ島などへのハネムーンやウェディングの需要が高い」と説明。需要は09年以降低下し、復調したのち近年の難民問題で再び低下したが、「今年に入ってからは再び回復している」という。
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