復調の香港支える座席増、プロモーションも奏功ー「適正価格」注文も

テレビとSNSで需要喚起と刈り取り
LCC効果かレジャー需要が大幅増

コントラクト香港に参加したバイヤーと関係者

 香港へのアウトバウンド需要が回復している。2016年の日本人訪問者数は前年比4.1%増の109万2329人となり、今年も好調を維持。通年で12年以来となる110万人台の達成もこのままいけば確実といえる状況だ。このほど香港で開催された日本市場向け商談会「コントラクト香港」で、日本からのバイヤーが62名、サプライヤーが104社といずれも過去最多を記録するなど関係者の熱も入る。需要喚起の枢要を担う香港政府観光局(HKTB)が市場の現況をどう見るか、またどのような策を展開するか。同商談会に参加し取材した。


120万人回復へ、環境整う

(右から)HKTBトレード・デベロップメント担当シニアマネージャーの陳輩凡氏、HKTB日本局長の堀和典氏

 HKTBによると、17年1月から4月までの日本人訪問者数は16.2%増と好調で、出国者数全体の7.1%増を上回っている。HKTB日本局長の堀和典氏は、秋の大型団体の動向によると前置きしつつ、通年では「120万人をめざしてやっている」という。

 特に傾向として顕著なのは「宿泊を伴う観光目的の訪問者」、つまりレジャー需要の増加で、日本市場全体では37.1%増となったばかりか関西は78.6%も伸長した。これについて堀氏は、インバウンド需要の急拡大に座席増が追いつき、日本市場で利用しやすい座席や運賃が出るようになったと分析。また、中国本土からの訪問者が減少したことで宿泊料金も落ち着いてきたという。

 このほか、世界経済フォーラムが発表した安全なデスティネーションとしてのランキングで日本の26番目を上回って世界で5番目に安全と評価されたことなども、昨今の市場環境で追い風になっていると見る。


座席は2年で1.5倍、LCCと地方が牽引

 座席動向について本誌が提携するOAGのデータを確認すると、2016年の日本/香港間の航空座席数は432万917席で、14年比では48.6%増。航空会社別で見ると、当然キャセイパシフィック航空(CX)が最大手の座を保ってはいるものの、14年に52.8%であったシェアは16年には38.9%に縮小した。

 一方、香港エクスプレス(UO)、ピーチ・アビエーション(MM)、ジェットスター・ジャパン(GK)、バニラ・エア(JW)のLCC4社は合計で13.2%から27.9%にまで増加。実際の座席数は、38万3937席から120万6206席へと急増している。この結果、最近では社員旅行でLCCを使うようなケースも増えつつあるという。

 また、空港別では、レジャーが急増した関西国際空港で14年は83万3888席であった座席が16年には119万2673席となったほか、新千歳でも13万3725席が23万6859席、福岡で13万5635席が22万5599席、沖縄で22万9328席が31万4507席などとなっている。さらに就航地点も増えており、14年に8地点であった乗入空港数は16年に20地点へ倍増した。

 なお、こう背景もあってかリピーター比率が変化しているといい、堀氏が13年に着任した際は約6割であったところが現在は5割に引き下がったという。