現地レポート:ソウル、ロッテワールドタワー開業-観光に新たな流れも
アシアナがFAMツアー
「スモール・ラグジュアリー」テーマに手軽で特別な旅行体験を推進
現地の人との交流を楽しめる人力車とお弁当カフェ
さて、韓服を着て町に出たら、世界文化遺産の昌徳宮など王宮を散策するのもいいが、これからの季節に最適なのが人力車ツアーだ。これは、北村、西村、貞洞といった伝統的な街並みを、自転車スタイルの人力車で案内してくれるプログラム。景福宮と昌徳宮の間に位置する北村は、朝鮮王朝時代に両班と呼ばれる貴族階級や官吏たちが暮らした地域で、今も多くの伝統韓屋が保存・復元されている。韓服を着て、世界遺産である王宮・昌徳宮の前から人力車に乗れば、ちょっとした貴族気分を味わえる。
この辺りはソウル北部の北岳山の山麓に位置し、坂が多いので、人力車ツアーはシニア層にも最適だ。伝統韓屋だけでなく、1970年代の家屋を利用した古民家カフェや、かつての銭湯を改造したギャラリーなどもあり、ひと味違った町歩きを体験できる。ツアーは、北村一帯をめぐって約1時間。複数のエリアをまわる、所要2時間のVIPコースもある。
さらに、韓国旅行の定番のひとつが市場めぐりだが、最近注目を集めているのが、景福宮の西側にある通仁市場だ。一見、韓国のどこにでもある在来市場だが、2012年から「トシラク(お弁当)カフェ」を実施して、一躍人気スポットとなった。
トシラクカフェとは、市場で売られている惣菜を自由に買って、自分だけのお弁当を作れるプログラムだ。市場なかほどの顧客満足センターでコイン(1枚500ウォン)を購入し、容器を受け取る。そして、市場内の加盟店をまわって、コインと引き替えに好みの惣菜を盛り付けてもらう仕組みだ。惣菜は1種類につきコイン1枚から4枚で、コインは1枚単位で購入できる。「完成」した弁当は、顧客満足センター2階のカフェでいただく。
これまで、こうした在来市場は韓国らしさを見学できる一方、実際にショッピングを楽しむことは難しかった。トシラクカフェなら、食べたい惣菜を指さしてコインを渡すだけで色々な料理が買え、現地の人との簡単な交流も楽しめる。従来の市場散策よりも印象深い、貴重な体験ができるだろう。市場の近くには、行列が出来ることで有名な参鶏湯専門店「土俗村」もあり、街、市場、伝統食と、ソウルの多種多様な文化を多面的に体験できる。
来年は、江原道平昌で冬季オリンピックが開催され、同時に2020年までの「日韓相互訪問の年」キャンペーンがスタートする。様々な交流プログラムが開催される予定で、いち早くトピックに注目して商品造成に役立てたい。
取材:栗原景