現地レポート:ソウル、ロッテワールドタワー開業-観光に新たな流れも
アシアナがFAMツアー
「スモール・ラグジュアリー」テーマに手軽で特別な旅行体験を推進
より深く文化を体験する「スモール・ラグジュアリー」
ロッテワールドタワーのもうひとつの注目点が、76階から101階にある高級ホテル「シグニエル・ソウル」だ。客室数は245で、スタンダードクラスであるデラックスでも44平方メートルと十分な広さを備える。地上300メートル以上に位置する客室からはソウル・スカイと同様のパノラマビューを楽しめる。
1泊につき2点までプレス(ランドリー)サービスがつくのもポイントで、室内外からアクセスできる専用のボックスがあり、従業員と顔を合わせることはない。天空の客室で、誰にも邪魔されないオンリーワンの宿泊体験が可能だ。プライベートラウンジや、雲の上で汗を流せるフィットネスクラブも利用でき、滞在自体が、貴重な旅の体験となるだろう。
さらに、ロッテワールドタワーには、ショッピングモールや免税店も併設されている。8階と9階に入っているロッテ免税店ワールドタワー店は、国内で2番目の売り場面積を誇る大型免税店で、内外のブランド420種あまりが揃う。天井が高く、本店である明洞店ほど混雑しないので、ゆっくりとショッピングを楽しめる。大型スーパーのロッテマートも隣接し、この周辺だけでソウルの魅力を贅沢に満喫できる。
また、ソウルの観光素材にも新しい流れが生まれつつある。現在、KTOが力を入れているのが、「スモール・ラグジュアリー」だ。従来の韓国ツアーは、市場や焼肉店を分刻みでまわるようなスケジュールが中心だった。それに対し、「スモール・ラグジュアリー」では、リピーターの増加を念頭に「オーガニックキムチの手作り体験」、「ミシュランガイドで評価されたレストラン」、「医療都市・大邱での韓方美容プログラム」など、韓国文化をより深く、贅沢に体験できるプログラムの充実がはかられている。
興味深いのは、「スモール・ラグジュアリー」が、必ずしも高級路線というわけではないということ。例えば、伝統韓服のレンタルサービス。これは、以前からソウル観光の定番素材としてあったが、従来室内で着付け、作法を体験して記念写真を撮るだけだった商品が、近年進化を遂げている。
それは、韓服を着たまま町を自由に散策するプログラムだ。実は、今韓国では様々な衣装を着て散策を楽しむ「コスプレ観光」が流行している。伝統韓服以外でも、かつての日本人街が保存されている浦項市の九龍浦では、日本の浴衣を着て散策するのが若い人を中心に流行っている。
ソウルのレンタル韓服は、彩り鮮やかな本格的韓服が各種揃っており、90分1万ウォン(約1000円)という手軽な料金でレンタル可能。カチューシャや帽子、ポーチといった小物も一緒に借りられ、気分は韓国の王様、あるいは王妃様だ。
韓服を着て町を歩くと、外国人はもちろん、地元の人々からも笑顔で声をかけられ、普段の町歩きとはひと味違った体験が楽しい。外国人専用のプログラムではなく、韓国人の利用が多いのも人気の秘密だ。