ビジネスジェット3社がセミナー、旅行会社にメリット強調
ビジネスジェットを運航する朝日航洋、中日本航空、静岡エアコミュータの3社はこのほど、旅行会社や航空会社、その他の一般企業などを対象に、都内でビジネスジェットに関するセミナーを開催した。このうち、ビジネスジェットのメリットや活用事例について紹介した朝日航洋航空事業本部東日本支社担当部長の下嶋努氏は「スロットやスポットの空き状況によるが、1500メートル以上の滑走路がある空港であればどこへでも運航できる」と語り、定期便に比べてプライバシーを保てること、テロなどに遭遇する可能性が低いことなどをアピールした。
下嶋氏によれば、2016年度に朝日航洋を介してビジネスジェットをチャーターした利用者のうち、30%は欧米などのグローバル企業に務めるマネジメント層がビジネス目的で利用。このほか、23%が欧米や中東の富裕層による訪日旅行、23%が国内外の芸能人やスポーツ関係者だった。なお、中国の富裕層は自家用機を利用するため、ビジネスジェットの利用は少ないという。
残りの24%は日本人による利用で、内訳は富裕層による海外旅行などのレジャー需要が15%、ビジネス需要が9%。下嶋氏は、欧米や中東の富裕層の開拓の必要性について訴えるとともに「日本人の富裕層とビジネス客をいかに取り込むかが、ビジネスジェット市場の拡大のための一番大きな課題」と話した。
旅行会社には、ビジネスジェットの活用を訴えるとともに「自身の趣味嗜好を前面に出すお客様の要望に応えることで、高い手数料を設定できる」とメリットを強調。定期便のない目的地への移動や、周遊旅行などへの活用を呼びかけた。
航空会社に対しては、マイルで利用できるサービスの1つとして採用することを提案。そのほか成田/シアトル間を定期便のビジネスクラスで、シアトル/フェアバンクス間をビジネスジェットで移動してオーロラを楽しんだ利用者の例を挙げ、長距離路線の定期便と合わせて活用することも促した。
セミナーの最後には、参加者との意見交換を実施。参加者からは「認知度が低いため販売しづらい」といった意見や、「値段の計算が複雑で説明もしにくいので、お客様に提示できる公示運賃が必要。その上で旅行会社にコミッションが落ちるシステムを作ってもらいたい」といった要望が挙がった。
また、現在は羽田に駐機している機材がなく、各社が地方の空港から羽田まで移動させていることについて「移動費用で全体の値段が高くなっている」と改善を求める声や、3社ともに保有機材が少ないため、利用したいタイミングで利用できない可能性があること、いざという時に代替機がないことをデメリットとして挙げる参加者もあった。3社は今後、改善に向けて検討を進めていく方針だ。