KNT-CT、現社長と次期社長が会見、改革は「新しい力」で
▽丸山氏、KNT-CT社長は「近鉄人生の集大成」に
次期社長となる丸山氏は「1972年に近鉄に入社し、営業販売ひと筋に、不動産から志摩スペイン村などのレジャー商品まで、さまざまな商品を扱ってきた。KNT-CT社長は近鉄人生の集大成と思って取り組みたい」と挨拶。業界を取り巻く環境については「経営環境は厳しいが、観光については今や国の重要な基幹産業で、訪日旅行や地方創生には政府の後押しもある」と前向きに語った。
当面のビジョンとしては「20年の東京五輪のインパクトが大きいと期待しているので、それまでに着実に成長を続け、その後も右肩上がりを続けたい」と語り、訪日旅行やMICEの取り込み、スポーツ事業、インターネット販売などの「大きな成長分野」に、新たに設立する地域会社や専門会社との連携で取り組む考えを示した。
なお、個人旅行の低迷要因であるOTAとの競合については、「OTAをめざすわけではなく、挑んで投資をすることはない」と述べ、同じ土俵で戦う考えはないことを説明。これまでに培った商品企画力をベースに、クラブツーリズムの動員力などの強みや、インターネット販売など新たな販売路の可能性を融合させながら手法を模索する考えを示した。戸川氏も「店頭販売のヒューマンタッチの良さは必ず残す」と強調。なお、個人旅行については、今後はクラブツーリズムがグループ全体の商品造成を担い、強化をはかる予定。
ちなみに地域会社の設立は、このほど地域会社を本社に統合する計画を発表したジェイティービー(JTB)と正反対の動きとなる。このことについては戸川氏が、すでに分社化している近畿日本ツーリスト北海道など4社が好調を続けていることを説明。「個人と団体を一緒に扱って成功していることが、今回の改革のベース」と語り、「我々は地元に密着する」との考えを示した。KNT-CTが課題としていたグループ全体の統括については、KNTとKNT個人の事業統括部門をKNT-CTに集約することで強化する。
なお、KNT-CTは16年度から18年度までの中期経営計画で掲げた目標数値などについては、17年度は継続し、18年度以降に見直す方針。組織改編に伴うリストラについては実施しないとしている。