旅行会社は企画力と提案力の磨き上げを-JATA経営フォーラム
テーマ性の高い独自企画で差別化
「旅の目的」を膨らませる提案を
朝日旅行はテーマ型旅行を強化
旅工房は製販一体でニーズに対応
JTBグループで、一般消費者や朝日新聞の購読者、朝日カルチャーセンターの会員などにツアーを販売している朝日旅行からは、海外企画販売部企画販売チームシニアディレクターの鹿野真澄氏が登壇。12年頃から徐々に美術や音楽などのテーマに特化した「テーマ型旅行」を強化していることを紹介した。鹿野氏は「テーマ旅行には明確な旅の目的があるため、多少のリスクがあっても参加してもらえる」と説明し、テロ事件などの影響を受けにくい点をメリットとして挙げた。12年におけるテーマ旅行の占める割合は全商品の25%程度だったが、16年には49%まで増えたという。
テーマ型旅行の取り扱いのポイントとしては「商品造成に手間がかかるので、ツアーの催行率を上げることが重要」と指摘。一般的な量販型のパッケージツアーの方が集客数は多いが、単価はテーマ型旅行の方が2割から3割程度高く、「一定の人数が集まれば収益性は大きく上がる」と強調した。催行率を高める方法としては、朝日カルチャーセンターの人気講師をフックにしたツアーを造成していること、1つのテーマで数種類のツアーを造成してシリーズ化していることなどを説明した。
旅工房執行役員の前澤弘基氏は「商品企画の際には旅行者のニーズをしっかりと取り込むことが重要」と語った上で、同社の取り組みを紹介。自社のウェブサイトでパッケージツアーの予約を受け付けるとともに、担当方面に精通した販売スタッフの「トラベル・コンシェルジュ」が電話やメールで顧客に応対し、ツアーのカスタマイズなどをおこなうハイブリッド型でビジネスを展開している旨を説明した。
前澤氏は、商品企画についてはスタッフが担当方面ごとに企画から販売までを一体的に実施する「製販一体型」で取り組んでいることをアピール。「トラベル・コンシェルジュが旅行者のニーズを吸収し、スピーディかつ柔軟に商品をカスタマイズするとともに、その他の商品造成にもニーズを反映させている」と伝えた。また、ランドオペレーターとの関係を強化し、現地で旅行者が何を楽しんだのか、どのような要望があったのか、といった情報を積極的に収集し、商品企画やコンサルティングに活用していることも強調した。