トップインタビュー:メキシコ観光局駐日代表のエギアルテ氏
座席大幅増でファーストタイマー獲得へ
米国の動向は「不安なし」
-米国ではドナルド・トランプ氏が大統領に就任し、日本でもメキシコに関するニュースを目にする機会が多くなりましたが、観光に与える影響は
エギアルテ 就任前は不安が大きかったが、現時点では日本人の観光や業務渡航に大きな影響はなく、不安もなくなった。トヨタの工場建設を牽制する動きもあり、業務渡航者が減ることを心配していたが、今のところはNH便の予約などにも影響はないと聞いている。
メキシコと米国の関係は長いので、良いことも悪いこともあるのは仕方がないし、米国のメディアを介したニュースには必要以上にネガティブなものもある。ただしその多くは米国に隣接する州のニュースで、日本人観光客にはあまり関係はなかったりするのだが。良くも悪くも、遠い南米の国とでも思われていた可能性のあるメキシコが、そう遠くはないところにあることが知られる機会になったと思う。
-メキシコ人が大量に送還されるなどして、治安が悪化する恐れはありますか。また、米国の動向とは関係なく、最近も一部の州で外務省の危険レベルが引き上げられていますが、現地では旅行者の安全確保に向けてどのような取り組みを進めていますか
エギアルテ 今のところ、観光客にとって治安面の大きな問題はないし、政府も観光地や交通機関のさらなる警備強化を進めているので、心配はないと思う。そのほか、昨年にジカ熱が世界的に拡大した際にはプレスリリースを発出したように、正確で詳細な情報は常に用意しているので、旅行業界には必要に応じて提供していきたいと考えている。
治安や安全に対する考え方は9.11以降大きく変わり、かつては危険とされていなかったことも今日では危険視されるようになったが、そもそもどんな国や都市にも光と影の両方がある。たとえば首都のメキシコシティは、今も昔もテロ事件が起きていないという意味では安全だが、地域によっては危ないところもある。日本について言えば、治安の良さは世界でもトップクラスだが、一方では地震が多いという問題がある。あまり考えすぎても、世界中の旅行が立ちいかなくなるので難しい。
幸いなことにメキシコは国土が大きく、観光資源も多い。仮にメキシコシティで何かが起こったとしても、その他にカンクンやロスカボスなどのリゾート地があるし、街並みが世界遺産に登録されている中央高原のグアナファトなど、新たなデスティネーションも訴求できる。座席数が増えたことで、今後は新たなデスティネーションのプロモーションも強化しやすくなるだろう。
-ありがとうございました