日本旅行、「戦略国」豪州と共同セミナー、4年で55%増へ
日本旅行はこのほど、オーストラリア政府観光局(TA)と共同で、自社店舗や提携販売店のスタッフ向けのセミナーを開催した。同社は2017年から20年までの中期経営計画で、オーストラリア、ニュージーランド、スペイン、ベトナム、カナダの5ヶ国を、販売を強化する「No.1戦略国」と位置づけているが、これらの5ヶ国に関するセミナーは初めて。
同社東日本海外旅行統括部部長の阿部公宣氏は、本誌などの取材に応えて「全社を挙げて、5ヶ国を4年間で『我々はここが得意です』と言えるデスティネーションに育てていきたい」と意欲を示した。同社の16年のオーストラリアへの送客人数は前年比38%増で、今年の目標は13%増。1月から3月までは前年並みだったが、4月から6月までについては15%増で推移しているという。20年の中計終了時には16年比55%増をめざす考え。
阿部氏は、オーストラリアを「No.1戦略国」に選んだ理由として、「世界遺産などの観光地や食べ物などが充実しており、魅力的であること」と説明。そのほかハネムーナーや家族、シニア、学生など幅広い客層にアピールできること、昨年12月にカンタス航空(QF)が成田/メルボルン線を就航して注目を集めていること、「安心・安全」のイメージが強いことなども理由として挙げた。
東日本海外旅行統括部の松下陽子氏は上期のパッケージツアーについて「組み込みにくい希少素材をツアー化することにチャレンジした」と語った。例えば「野生動物の楽園“カンガルー島”とアデレード・シドニー7・8日間の奇跡」では、全21室のラグジュアリー・ロッジ「サザン・オーシャン・ロッジ」に2連泊。同施設は客室が少なくキャンセル規定も厳しいが、粘り強く仕入れたという。
このほか、世界遺産に登録されている熱帯雨林のキュランダを観光するツアーでは、キュランダ鉄道の座席を、前方の車両と周囲の景色を同時に撮影できる10両目以降で確保するプランも設けた。なお、日本旅行では今後、日本/オーストラリア間の双方向チャーターの実施も検討するという。
▽TA中沢氏、現地邦人の受入体制を評価、今後のセミナーにも意欲
TA日本局長の中沢祥行・ジョー氏は、日本人旅行者の約8割が旅行会社経由でオーストラリアを訪れていることを説明し、「旅行会社は大切なパートナー」と強調。日本旅行に対しては「日本ではプロモーションの進んでいないデスティネーションや、ユニークで話題性のあるコンテンツをツアーに取り入れて欲しい」と語った。
また、1月に安倍首相が訪豪した際に、日本旅行の現地法人のNTAオーストラリアが手配を担当したことについて説明。「しっかりとした現地の受入体制があり、我々としても安心」と評価した。今後は引き続き最新情報を提供するとともに、各店舗でのセミナーも開催したいという。
中沢氏はそのほか、さらに航空座席数を増やすため、航空会社などにアプローチをしていることを説明。日本からの直行便がないパースへの路線開設や、シドニー、メルボルン、ケアンズ線の増便を要望していることを明らかにした。