文化庁、「日本遺産」を欧米にアピール-国際フォーラム開催
文化庁は3月7日、都内で「日本遺産国際フォーラム」を開催した。2015年に創設した「日本遺産」の趣旨や取り組みを、欧米を中心に海外のジャーナリストや著名人、留学生などに向けてアピールするもので、海外への情報発信を目的として国内で開催したのはこれが初めて。基調講演や留学生による研究発表、パネルディスカッションをおこない、国内外の旅行・観光関係者、自治体、留学生などからの参加者は400名超に上った。
日本遺産は、各地に点在する有形無形の文化財群をその歴史的・文化的背景とともに1つの「ストーリー」として認定し、情報を発信することで、外国人を誘客して地域活性化につなげることがねらい。文化庁は15年度から年1回、都道府県の教育委員会を通じて募集をおこない、これまでに福岡県の「古代日本の『西の都』~東アジアとの交流拠点~」や和歌山県の「鯨とともに生きる」など計37件を認定している。4月下旬には17年度の認定をおこなう予定だ。
冒頭で挨拶した文化庁長官の宮田亮平氏は日本遺産の主旨について、「とても素晴らしい価値を持っているのに、その国や地域に住む人々が気付いていないものがある。それを違う目線で見て再発見することが大切」と説明。「日本は小さな国だが非常に多くの文化が根ざしている。20年に向けてそれを掘り起こし、最低100件の日本遺産を認定したい」と意欲を示した。
続いて、小西美術工藝社代表取締役社長のデービッド・アトキンソン氏が基調講演を実施。アトキンソン氏は「日本には素晴らしい歴史や文化があるのに、プレゼンテーションが下手」と指摘した上で、「史跡や建造物を個々の物として見るのではなく、歴史的・文化的な背景とともに包括的に捉えるべき」と述べ、ストーリーとして認定する日本遺産の主旨に賛同した。
その後は、早稲田大学や筑波大学などの留学生が日本遺産に関する研究の成果を発表。それぞれ京都府の「日本茶800年の歴史散歩」や四国4県の「四国遍路~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~」などの日本遺産を巡り、現地で感じたストーリーの魅力や気付きを紹介した。
「日本遺産による外国人の誘客」をテーマに実施したパネルディスカッションでは、日本文学研究者で東京大学大学院教授のロバート・キャンベル氏がモデレーターを務め、クラブツーリズムテーマ旅行部顧問の黒田尚嗣氏や日本政府観光局(JNTO)理事の小堀守氏などがパネリストとして登壇。外国人に対してのストーリーの伝え方や、商品化の手法などについて議論した。
※詳細は後日掲載予定
※訂正案内(編集部 2017年03月10日11時10分)
・訂正箇所:第5段落3文目
誤:「日本茶800円の歴史散歩」
↓
正:「日本茶800年の歴史散歩」
お詫びするとともに訂正いたします。