ANTA、金沢で「国内観光活性化フォーラム」、さらなる連携強化へ
全国旅行業協会(ANTA)は3月3日、石川県金沢市で第12回の「国内観光活性化フォーラム」を開催した。会員企業や自治体などを招き全国支部組織の連携強化をはかるほか、開催県の観光の活性化を促すためのもので、北信越地方での開催は2012年の富山県大会に続いて2回目。石川県での開催は今回が初めてとなる。今年のスローガンは「来まっし・観まっし・食べまっし~石川から観光活力を!~」で、各種の講演や懇親会などもおこなった。
開催にあたり、主催者を代表して挨拶した会長の二階俊博氏は「政府が掲げた年間訪日旅行者4000万人の目標の達成に向けて、皆が真剣に取り組む機運が高まっている」と説明。「観光立国の実現は地方創生の観点からも重要。旅行・観光業界の皆さんとともに、政府を挙げて、自民党を挙げて取り組む」と決意を示した。
開会の挨拶をおこなったANTA石川県支部長・地元実行委員長の北敏一氏は、今年で開業から3年目を迎える北陸新幹線について言及。「今年が正に正念場。石川県を中心とした北陸地方にもう一度目を向けていただきたい」と述べ、出席者に送客を呼びかけた。
観光庁長官の田村明比古氏の代理で登壇した審議官の瓦林康人氏は、昨年に政府が定めた「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げた20年の訪日外国人旅行者数4000万人などの目標を改めて説明。その上でANTA会員各社に対しては「より一層の国内市場の活性化とインバウンドの振興をお願いしたい。観光庁としてもさらなる支援に努める」と意欲を示した。
瓦林氏は続いて、日本の観光の現状と旅行産業の活性化をテーマに基調講演を実施。旅行産業については「国内旅行は新しい切り口で需要を掘り起こして活性化することが不可欠。また、訪日旅行は開拓の余地が十分にあるのでは」と指摘した。国内市場の活性化に向けては、訪日旅行者の受け入れのために磨き上げが進められている地方の観光資源を活用することを提案し、古民家の再生・活用などの事例を紹介した。
訪日需要の取り込みについては、長期滞在の増加に向けて着地型旅行商品を充実させる必要性を強調。今国会に提出する予定の旅行業法の改正案に、着地型商品の促進に向けた内容などが盛り込まれていることを説明し、「近年、訪日外国人が増えている地域では発地国の旅行会社が着地型商品を扱うパターンも出てきていると聞くが、(業法の改正を機に)日本各地の関係者にも取り組んで欲しい」と訴えた。
石川県出身で、現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務める森喜朗氏は「東京2020とラグビーワールドカップ」と題した記念講演を実施。「東京五輪開催の最大の目的は復興した日本を世界にアピールすること」と説明したほか、「旅行・観光業は平和がモットー。オリンピックも世界が平和でなければできないので、開催するために各国が休戦したりする。オリンピックを日本で開催することが旅行・観光業にとってもプラスになる」と意義を語った。
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