杖立温泉「ひぜんや」の元運営会社が特別清算、負債19億円
東京商工リサーチ(TSR)によると、熊本県・杖立温泉の大型ホテル「ひぜんや」の元運営会社であるAKはこのほど、東京地方裁判所から特別清算開始決定を受けた。負債総額は約18億5600万円で、金融債務が大部分を占めるという。
AKは創業300年以上の老舗旅館「肥前屋旅館」の事業を継承する目的で、1967年に杖立観光ホテルひぜんやとして設立。熊本県と大分県の県境にあり、ボウリング場や屋外プールなどを併設した客室数144室の「ひぜんや」と、89年に開業した客室数47室の姉妹旅館「大自然」を運営していた。95年には約40億円を投じてリニューアルを実施し、ピークの97年8月期には売上高約32億円を計上した。
しかしその後は、景気の低迷などにより企業の団体客などが減少。黒川温泉や由布院温泉など近隣の温泉地との競合などもあり、売上高は次第に低下し、2012年には12億円まで減少した。さらに赤字の計上により債務超過に陥り、資金繰りも逼迫していた。
その後は金融機関から返済猶予を受け、金融機関主導の事業再生支援スキームを活用。昨年6月1日には、ホテル事業を新たに設立したAKに譲渡し、商号を杖立観光ホテルひぜんやから同名のAKに変更した。同年8月には株式総会の決議により解散し、12月には登記上の本社を東京に移転した。
なお、昨年6月1日に設立してホテル事業を継承したAKについては、同日に「杖立観光ホテルひぜんや」に商号を変更し、ホテルを運営している。