トップインタビュー:楽天ライフ&レジャーカンパニートラベル事業長の高野氏

  • 2017年2月9日

ユーザーと宿泊施設のマッチングに注力
訪日強化で「アジアのリーディングOTA」へ

-「エンパワーメント・プラットフォーム」とは、具体的にどういうものですか

高野 宿泊施設が自分でマーケティングし、集客するモデルを考えている。現在の一般的な集客モデルは、従来型の旅行会社がパンフレットを作成して宿泊商品をコントロールし、マーケティングの権限も握っているが、その権限を宿泊施設に移譲して宿泊施設の自由度を優先するのが我々の言う「エンパワーメント」だ。例えば宿泊施設がターゲティングした客層に対し、的確なタイミングでマーケティングできる機能を提供したい。

 楽天は日本一のデータを有している会社だと自負している。グループの有するビッグデータを活用し、「女性や家族をターゲットにしてマーケティングをしたい」という旅館には、初めて宿泊する女性客に割引するプランを設定できる機能を提供するといったように、細かなニーズに応えていきたいと考えている。

 また、お客様と宿泊施設のマッチングをさらに強化する。旅行商品を予約するお客様に宿泊施設を提案する場合、目的地にあるニーズにあった宿泊施設を提案する方法と、違う旅行先にあるがニーズにあった宿泊施設を提案する方法の2つがある。2つの方法を活かして、お客様に最良の宿泊体験をしていただけるよう、宿泊施設にはプランを提供してもらい、我々がウェブサイトで紹介したい。

 楽天トラベルのウェブサイトでは、各施設の紹介ページで「同じ施設を見た人はこんな施設も見ています」と、他の利用者の閲覧履歴などから選んだ比較対象となる他の宿泊施設をリコメンドしている。このような機能をどんどん強化し、あらゆるページにリコメンド機能を実装し、お客様がより的確にプランを選べるようにしたい。

 現在はお客様の行動パターンを分析し、適切な施設をリコメンドする取り組みをおこなっている。昨年4月の組織改正でトラベル事業と楽天市場事業が開発部と一緒に「ライフ&レジャーカンパニー」という1つの傘の下に入ったことで、開発部との距離が近くなった。三位一体でビジネスを進めることで、大きな成果が出ている。

 お客様が満足しないケースの原因は、宿泊施設のサービスに課題がある場合もあるが、プラットフォーム業者としてはマッチングの問題と捉えている。お客様と宿泊施設のベストマッチができれば双方の満足度が高まるし、お客様のリピーター化にもつながるだろう。


ユーザーだけでなく、宿泊施設に対してもサービスを強化されていますね

高野 国内拠点を20ヶ所まで増やし、宿泊施設への営業とともに、サポートも強化している。直近では宿泊施設向けの電話によるサポートデスクの営業時間を伸ばすとともに、365日対応にした。

 さらに、230名のインターネット・トラベル・コンサルタント(ITC)が宿泊施設をサポートしている。ITCは現場に出るまで1ヶ月間研修をするが、その際にはお客様向けのコールセンターで研修をおこなっている。コールセンターでお客様のニーズを実際に伺っておくことで、宿泊施設に対する提案などに説得力が生まれる。

 また、昨年はキャンセル料の徴収体制を強化し、お客様にはキャンセル料を払うようメールを配信したり、事前にカード登録をしてもらったりして、宿泊施設にはより確実にキャンセル料が払われるようにした。