週間ランキング、1位はHIS違法残業-業界全体で改善を
[総評] 今週の1位は、エイチ・アイ・エス(HIS)で労使協定を超える残業が発生し労働基準法に違反したことを取り上げた記事でした。先々週は澤田秀雄氏のインタビューが1位になり、昨年の年間ランキング1位も澤田氏の社長復帰で、しばらくHISのことばかり書いている気がしますが、こんな話題でまで1位になってくるとは思いもよらず正直なところ苦笑いしてしまいました。
もしかするとご批判を受けるかもしれませんが、個人的にHISの印象は「モーレツ」なので、労基法違反にも驚きはありませんでした。というか、記事中の日本旅行業協会(JATA)のコメントにもあるように、程度の差こそあれ長時間労働は旅行業の中で特異なものではありません。その中でこうした取り上げ方をされたということはそれだけHISが突出していたからかもしれませんが、それにしてもこれはやはり旅行業全体が受け止めるべき叱責でしょう。
私自身も、過去には終電ギリギリで帰宅してから食事をし、さらにストレス緩和のためにアルコールを飲んで明け方に寝るというような生活をしていました。問題は、なんとなくそれがあったからこその今と考えてしまうところで、なんとなくと書きましたが、はっきりいえばおそらくその経験によって成長したことは間違いないと思っています。
しかし、この経験を部下たちにもしてほしいかというとまったくそうは思えません。過労死などのニュースに触れるにつけ、もしかすると自分は運が良かっただけかもしれないと感じますし、自分が大丈夫だったからといって同じことを他人に要求し、万が一にも相手に何かが起きた時に割り切れるほど頑強な精神は持てません。
もちろん、仲良しこよしのお楽しみ会でビジネスが結実する可能性は低いでしょうけれども、個人の肉体と精神の耐性、剛性に依存するのはいびつです。HISには澤田氏のカリスマ性や無茶を楽しむ文化のような独自の強みがあるように感じられ、結構な割合で「好きで残業している」ような気もしますが、それが会社存続の条件になると、それは組織的な逆依存であって中長期的にはやはり不健全でしょう。
業界外でも「モーレツ」で知られた日本電産が2020年までに残業ゼロを目標に掲げているそうですし、あるいは電通も働きすぎが問題視され、これはもう「そういう時代」であると考えるべきではないでしょうか。
健全な存続と成長は口でいうほど簡単ではありませんが、だからといって諦めるわけにもいきません。9位の記事ではJATAが開催した新卒採用セミナーの内容を紹介していますが、そもそも自分の子どもや友人に勧められる会社、業界にしていく努力が不可欠です。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年01月27日0時~02月03日15時)
第1位
◆HIS、違法残業で強制捜査-JATA「業界全体で見直しを」(17/02/01)
第2位
◆ハワイアン航空、関空線にフルフラットシート、3月16日から(17/02/01)
第3位
◆JTB、インドネシアの大手旅行会社に出資、「アジアNo.1へ」(17/01/31)
第4位
◆HISグ、ロボット事業で新会社「ハピロボ」、店舗内実験へ(17/01/30)
第5位
◆ファーストキャビン関空、開業は3月30日に、予約受付開始(17/02/02)
第6位
◆定時運航率1位はハワイアン航空、上位20位には日系2社も-OAG調査(17/01/31)
第7位
◆ANAHD、3Qは減収も利益2桁増、営利経利が過去最高(17/01/29)
第8位
◆エアアジアJが就航を再延期、時期は「できるだけ早く」(17/01/30)
第9位
◆新卒採用セミナー、辞めない学生を採るコツを紹介-JATA(17/02/02)
第10位
◆コンチキ・ホリデイズ、日本での展開に意欲、CEOが来日(17/02/01)
※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
◆台湾・台北、台北市内~桃園空港を結ぶ「桃園空港MRT」3月02日に正式開通決定(17/01/27)
◆人事、日本旅行管理職-2月1日付(17/02/01)