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宿泊予約権利売買のCansell、本格展開に向け資金調達

  • 2017年1月29日

Cansellのプレビュー版サイト  宿泊予約の権利を売買できるウェブサイト「Cansell」を運営するベンチャー企業のCansellは、このほどDGインキュベーション、カカクコム、大和スタートアップ支援投資事業有限責任組合、イノベンチャーの4社を割当先とする第3者割当増資を実施し、4000万円の資金を調達した。サービスの拡大や、ウェブサイトの正式公開に向けた人材採用、認知度向上に向けたマーケティング活動などの強化をはかる。

 「Cansell」は自身がおこなった宿泊予約をキャンセルする代わりに出品し、代わりに宿泊を希望する人に権利を販売できるウェブサイト。同社によればこのようなサービスは日本では初めてという。昨年9月にプレビュー版のウェブサイトを公開した。

 登録対象となるのは国内の全宿泊施設。出品内容に基づき、スタッフが事前に宿泊施設側に予約内容を確認し、宿泊者の名義変更の可否などを確認した上でウェブサイトに掲載する。販売価格は転売目的の出品を防ぐため、購入価格以下とした。売買成立後はCansellが予約名義を変更。出品者は宿泊料金を施設に支払い、追って同社から購入者が支払った金額を受け取る。ウェブサイトは無料で利用でき、Cansellは売買成立時に売上金額の15%を手数料として徴収する。

 代表取締役の山下恭平氏によれば、ターゲットは日本人による宿泊。パッケージツアーに含まれる宿泊については、宿泊のみの費用が不明であることなどから対象外としているが「うまく取り扱える仕組みがあれば取扱いを検討したい」という。

 同サービスは旅行業法第2条の「他人の経営する運送機関又は宿泊施設を利用して、旅行者に対して運送等サービスを提供する行為」の対象になる可能性が高い。このため、同社は現在、東京都に第3種旅行業登録を申請中で、遅くとも3月中には登録が完了する見通しだ。

ロゴマーク  山下氏は「Cansell」のメリットとして、予約者は売買が成立すれば取消料を節約することができること、購入者は定価より安い料金で宿泊できること、宿泊施設はキャンセルされた客室を再び使用できることを説明。今後は宿泊施設とのコミュニケーションを強化する考えで、直接訪問してサービスを説明するとともに、意見を聴取してサービスのさらなる改善をめざすという。

 現在は1日に1件宿泊予約の出品がある程度で、東京や大阪などの大都市と、沖縄の宿泊予約が多いとのこと。山下氏は「宿泊市場は非常に大きく、常に一定の割合でキャンセルがある」と期待を示す一方で、「まだまだ認知度が低い」と述べ、各種メディアでの広告展開などを積極的におこなう考えを示した。

 なお、Cansellはこのほど、宿泊施設向けにクチコミ管理システムを提供するTrustYouと業務提携し、1月26日から宿泊施設を紹介するページを公開。Trust Youが提供するビッグデータに基づき、口コミや評価などを掲載している。