トップインタビュー:オーストラリア政観新局長の中沢氏

日本人100万人へ、各所との協力重視
埋もれた魅力の発掘も

 オーストラリアが好調だ。全日空(NH)やカンタス航空(QF)によるキャパシティ拡大などが追い風となり、2割超の伸び率で日本人訪問者数が伸長。2016年は40万人の突破が見込まれる。そんななか、オーストラリア政府観光局(TA)日本局長に12月1日付けで就任したのが中沢祥行氏だ。ジェイティービー(JTB)や国際航空運送協会(IATA)で要職を歴任した経験を持つ中沢氏に、活況に湧くオーストラリア市場をどのようにリードし、さらなる成長をもたらすか聞いた。


-これまでのご経歴をお教えください

中沢祥行氏(以下、敬称略) 1994年に旧日本交通公社、現在のJTBに入社し、本社に所属してJTBビジネストラベルソリューションズの設立準備や宇宙旅行、エクスペディアとの提携交渉など様々なプロジェクトに取り組んだ。IATAでは2006年からの8年間、日本代表を務め、その後のHRSジャパンは2年弱と短かったが、ホテル客室の流通について学ぶことができた。

 オーストラリアとの関わりでは、JTBに在籍していた頃、ゴールドコーストのロビーナという街にあるボンド大学でMBAを取得した。その際に地域の方々に良くしていただいてたくさん友人もでき、オーストラリアに惚れ込んだ。これまでに30回は渡豪したオーストラリア大好き人間だ。


-デスティネーションマーケティングについてはどのようにお考えでしょうか

中沢 まったく未経験というわけではなく、JTBでモルディブの観光促進業務を受注した経験はある。とはいえオーストラリアほどきちんとしたものではなかったが。

 デスティネーションのマーケティングは、大きく分けて2つの役割が求められると考えている。1つは観光地や観光資源の客観的な価値を消費者に発信していくことで、もう一つは「そこに行かなければ」という主観的なニーズをいかに感じていただくかだ。

 オーストラリアに関していえば、大自然や現在TAが「絶景大陸オーストラリア」キャンペーンで焦点を当てている水辺の体験など様々な魅力があるが、感じ方はみんな異なる。そうした魅力を単に宣伝し、情報発信するだけでなく、きちんと感じていただく。