HIS、16年度はテロや地震で減収減益-次期は最高益へ
▽17年度は欧州回復に期待、オンライン事業を強化
17年10月期の連結業績は、売上高は10.7%増の5800億円、営業利益は40.1%増の200億円、経常利益は165.9%増の230億円、当期純利益は4394.4%増の120億円を予想。いずれも過去最高を見込む。HIS取締役副会長の平林朗氏は12月9日の会見で、「来年は特別損失もないため、一昨年の水準に戻る」と説明。一昨年比では売上高は7.9%増、営業利益は0.2%増、経常利益は1.4%増、当期純利益は10.2%増となることから「そこまで極端な見通しではない」と語った。業績予想には12月30日付けで澤田ホールディングスから株式を取得して子会社化するエイチ・エス損害保険の影響も織り込む。
平林氏は17年度の日本人の欧州旅行について、「一昨年の水準よりも上振れになってきている」と語り、需要が回復傾向にあることを説明。「欧州旅行を控えていたシニア層が来年は動く」とさらなる回復に期待を示した。同社の取扱人数に占める60歳以上の割合は約13%といい、今後は引き続き取り込みを強化する。
同氏は加えて、オンライン事業を強化する方針を示した。旅行者のFIT化が進み、旅行中にモバイル端末で旅行商品を購入するケースが増加するなか、同社の海外拠点網を活かして着地型旅行商品の販売に注力する考え。平林氏は「海外にある230拠点は、オンライン専業の旅行会社との大きな差別化につながる。提供する商品の独自性を出せるのでは」と期待を述べた。
一方、店舗での販売についても、シニア層を中心に「一定の需要はある」と説明。「黒字の店を残しているため、店舗の撤退は考えていない」と語った。