今年もMICE商談会「IME」開幕、154社が出展-消費額に焦点
日本政府観光局(JNTO)と日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)は12月6日、神奈川県・横浜市のパシフィコ横浜で26回目のMICE商談会「国際ミーティング・エキスポ(IME2016)」を開幕した。パシフィコ横浜での開催は22年ぶり。今回は全国のコンベンションビューローや観光協会、宿泊施設、MICE関連団体・企業、海外の観光局など合計154団体が出展した。JNTOによればMICEを実施している企業や旅行会社などをターゲットにしており、目標来場者数は3800名。7日まで開催する。
6日の開会式で、JCCB会長で参議院議員の猪口邦子氏は「社会、経済を総動員し、世界の知識を日本に取り入れるのがMICEの役割」と意義を強調。これまでMICEの認知度向上や人材育成などに取り組んできたことについて振り返るとともに、「今後も日本の発信力を(MICEで)高めるとともに、各地域にも影響が還元されるようにしたい」と話した。今回の商談会は各出展者がブースを設置する形をとるが、「今後は具体的なビジネスにつなげられるよう、ブース展開型を見直すことも検討したい」という。
JNTO理事長の松山良一氏は、政府が掲げる2020年の訪日旅行者数4000万人、消費額8兆円の達成に向けて、「訪日観光客と国際会議を中心としたMICEを両輪の輪として誘致に取り組んでいきたい」と意欲を述べた。同氏は「ここ数年でMICEの知名度が上がってきた。後は中身をいかに充実させるか」と強調。本誌の取材に対しては、特に国際会議を「旅行者数よりも消費額を増やすために誘致する」と話し、プログラムなどの充実により参加者の満足度を高め、消費額を増やしたい考えを語った。
今後は「グローバルMICE戦略都市」と位置づける東京や横浜、京都などへの誘致競争に向けた支援を引き続き強化。さらに、「500名以下のMICEは地方でもチャンスがある」ことから、小・中規模の団体の地方誘致にも取り組む。なお、JNTOは同日、IMEの会場内で国際会議の誘致や開催に貢献した主催者や、訪日インセンティブ旅行の好例を表彰。松山氏は表彰制度を通じてMICEのさらなる発展をはかる考えを示した。
このほか、6日には小西美術工藝社代表取締役社長で「新・観光立国論」の著者のデービッド・アトキンソン氏が「インバウンド2千万人時代の観光立国のあり方」と題した基調講演を実施。アトキンソン氏は17年の訪日外国人旅行者数は3000万人になるとの見通しを示し、今後の訪日客獲得については、さまざまなニーズに応じることができる「多様性」がキーワードになると語った。
同氏は各国の海外旅行者について、全体の8割が近距離の国を、2割が遠距離の国を訪問する傾向にあることを説明した上で、欧米など遠距離の国からの訪日客については滞在日数が長く消費額が大きいことを説明。「もっと日本も取り込みをめざすべき」と提案するとともに、訪日旅行者のデータの収集・分析や、ソーシャルメディア活用などを呼びかけた。