マカオ、17年は食とエンタメ訴求で35万人へ、女性と家族に注力
マカオ観光局は11月28日、都内で旅行会社向けの商談会とメディアセミナーからなる「マカオ・トラベルマート」を開催した。セミナーでは日本地区マーケティングリプレゼンタティブの斉藤麻帆氏が現地の最新情報を紹介したほか、2017年は「食」と「エンターテイメント」をテーマにプロモーションを展開する方針を発表。現在のメインターゲットである20代後半から40代までの女性に加え、今後は法人やグループ、家族連れなどを拡大したい考えで、目標は16年に引き続き35万人とした。
「食」については、中華料理に加えて大航海時代に伝わったポルトガル料理、2つをもとに発展したマカオ料理などの多様な食文化を訴求する考え。17年には、ユネスコによる文化の多様性の保護と持続的な発展をめざす制度「ユネスコ創造都市ネットワーク」の食文化部門にマカオ料理の登録を申請するという。また、17年のミシュランガイドには3ツ星レストランが2軒、2ツ星が5軒、1ツ星が12軒掲載されていることなども紹介した。
「エンターテイメント」については、ここ数年のIRの開業ラッシュに伴い充実してきたエンターテイメント施設をアピール。従来から人気がある「シティ・オブ・ドリームズ」のショー「The House of Dancing Water」や、15年に開業した「スタジオシティ」の8の字観覧車「Golden Reel」、「ギャラクシーマカオ」の全長575メートルの流れるプール、16年に開業した「ウィン・パレス・コタイ」の噴水ショーなどを紹介した。そのほか、17年後半にコタイ地区に開業するラグジュアリーホテル「The 13」などの情報も伝えた。
▽16年は31万人見込む、座席供給量が課題
同局によると、15年の日本人訪問者数は前年比5.9%減の28万2217人と減少したが、16年1月から9月までの累計は4.4%増の21万4782人と増加している。旅行会社とのコラボレーションを中心にテレビ番組や雑誌などでの露出が増加したほか、3月にマカオ航空(NX)が週4便で福岡線に就航し、10月には週5便に増便したことなどが増加の要因という。
本誌のインタビューに応えた同局日本代表の榊原史博氏は、16年の着地見込みについて「本来は35万人が訪れてもおかしくないが、31万人程度」とコメント。理由については訪日旅行者の増加により、日本市場への座席供給が少なくなっていることを説明した上で、「飛行機を使ってマカオを訪れている日本人は15%程度に留まる。短距離のデスティネーションとしては致命的な弱点」と指摘した。
今後は直行便に加えて、香港経由の流入に期待する。マカオでは現在、同地域と香港と中国の珠海市を結ぶ全長36キロメートルの「港珠澳大橋」の工事が進んでいるところ。港珠澳大橋は17年に完成し、18年に開通する見込みだ。