パリ空港、「旅の目的地」めざし投資強化-中部・福岡線を要望
シャルル・ド・ゴール空港などの管理・開発会社であるパリ空港は11月18日、フランス大使公邸で記者会見を開催した。来日したエグゼクティブ・バイス・プレジデントのロール・ボーム氏は「空港として、ただの通過点ではなく、それ自体が旅の目的となるような場所をめざす」と強調。シャルル・ド・ゴール空港の設備投資を強化することで「ショッピング、ガストロノミー、文化について最高のものを提供したい」と意欲を示した。
同氏によれば、2016年の同空港の利用者はテロの影響などで前年から2割減となる見込みだが、徐々に回復傾向にあるという。ただし日本人については「まだ需要が盛り返していない」状況。同氏は長距離方面において日本は、米国と中国に次ぐ重要な市場であることを説明し、「ぜひ来て欲しい、というメッセージを伝えたい」と語った。
ボーム氏は、11月8日に開業した乗継客向けの巨大ラウンジ「インスタント パリ」を紹介。空港の利便性と快適性を高めるための取り組みの1つで、航空機の座席クラスを問わず、すべての乗継客が無料で利用できるという。日本航空(JL)やエールフランス航空(AF)が利用するターミナル2Eに位置しており、広さは4500平方メートル。随所にソファーを配しており、300冊の蔵書を無料で閲覧できる図書館や、子供向けのプレイルーム、有料のレストランも設けた。ラウンジ内にはヒースロー空港やスキポール空港などでホテルを展開する英国のYotel社による80室のホテルもあるという。
そのほか、今後は20年までに46億ユーロを投じて空港内の整備を進める予定で、16年末までにスターシェフが手がける飲食店を4店舗、20年末までにさらに4店舗誘致する。昨年6月にはミシュランで2ツ星を獲得したギィ・マルタン氏が「I Love Paris by Guy Martin」を開業したところ。また、19年から20年にかけて、全日空(NH)が利用するターミナル1の改修もおこなう計画だ。
ボーム氏はあわせて「最高レベルのセキュリティを提供するために取り組みを強化している」と説明。空港内には5000名のセキュリティスタッフが勤務しており、警察や軍人なども追加人員を投入していることをアピールした。監視カメラは9000台設置しており、今後も増やす計画。不審者を発見した場合、監視カメラで空港内の行動を追跡できるという。このほか、ターミナルの入口では旅行者の荷物をランダムに検査するほか、警察犬によるパトロールなども実施中だ。
駐日フランス大使のティエリー・ダナ氏は空港に加えて、国境や国内の公共交通、観光地などのセキュリティについても強化している点をアピール。日仏友好160周年にあたる18年に、パリで日本文化の博覧会「ジャポニスム2018」を開催することが決定したことにも言及し、「この機会に是非来ていただきたい」と話した。
▽中部線復活はJLに期待、福岡線はAF
ボーム氏は2国間のネットワークの強化についても考えを示し、「日本/パリ間の直行便をさらに増やしたい。当面は中部や福岡からの直行便就航をめざす」と意欲を語った。現在は全日空(NH)、日本航空(JL)、エールフランス航空(AF)の3社が成田・羽田・関空からシャルル・ド・ゴール空港に直行便を運航しているところ。ボーム氏は「さらなる直行便増に向け、特にJLやAFに働きかけをおこなっていきたい、ポテンシャルは十分に感じている」と説明した。
JLに対しては、同社が09年10月まで中部線を運航していたことから、同路線の復活を訴える。AFについては、同じグループのKLMオランダ航空(KL)が16年1月まで福岡/アムステルダム線を運航していたことを踏まえて、それに代わる福岡発の欧州路線として就航を働きかける考えだ。