旅行業が求める人材とは?JATAが学生向けセミナー、EXPO会場で

人材確保に向け旅行業の現状を説明
若手社員によるディスカッションも

人材確保が課題
観光が人生を変える

ミラー氏  「これからは観光の時代」については、ミラー氏が世界と日本の観光業を比較して紹介。GDPのうち観光業が占める割合は、世界が9.8%なのに対し、日本は7.9%に留まっていることを述べ、「日本の観光業は世界に比べて規模が小さい。言い換えれば、まだ可能性があるということ」と話した。

 日本の観光業の現状として、訪日外国人旅行者などによって旅行「需要」は拡大している一方、旅行者を受け入れる側の観光従事者である「供給」が不足していることを指摘。「供給」を拡大するには人材育成のための投資が必要と話し、特に「日本の旅行業のイメージを良くすること」と「女性が活躍できる環境を作ること」「外国人雇用者を増やすこと」が要素になるとの意見を示した。

 また、ミラー氏は観光が世界に与える影響についても説明。実例として、インドにあるスラム街を活性化させるため、ある旅行会社がスラム街を訪問して住民と交流するツアーを造成したことを紹介し、「これによりスラム街の住民の生活は変わった」と話した。

 ミラー氏は「このように、観光業はさまざまな分野とつながっている」と述べ、「観光とは、世界を考えるのにとても良い方法。私は観光業に出会って人生が変わったが、皆さんも観光を学ぶことで人生が良い方向に変化していくと思う」と期待を示した。


「なぜその会社か」が大切
下調べで自分にあった就職先を

矢嶋氏  「入社試験を受けようと思うけど・・・旅行業界の現状はどうなの?」に関しては、矢嶋氏が旅行業の現状とともに旅行業が求める人材を説明。現在、日本には約1万社の旅行会社があることを述べ、「各社によって事業内容は異なる。就職面接の際はその旅行会社で何がしたいか、そこの旅行会社でなければいけない理由が必要」と話した。

 求める人材像としては、「IQよりもEQ(Emotional Intteligence Quotient(心の知能指数)」「斡旋力」「企画力」「添乗力(おもてなし力)」を持っていることが重要と話し、「店頭営業や添乗の際に、お客様がどのように思っているかを察する力が必要」と説明した。

 矢嶋氏は「世界や地域に貢献したいという気持ちは一緒だが、アウトプットの仕方は各社によって異なる。きちんと調べてみると、大手のみでなく中堅企業も皆さんにマッチすると思う」と話し、「東さんやミラー先生の話も含め、少しでも何か自分に合うものがあれば、ぜひ旅行業界で働いてほしい」と呼びかけた。