週間ランキング、1位はアエロメヒコ増便計画、NZも投資継続
[総評] 今週は、アエロメヒコ航空(AM)が日本就航10周年の記念レセプションを開催し、関係者が近いうちにデイリー化を実現できると話された記事が1位になりました。つい3年前までAM1社が週3便を飛ばすのみであったところから、来春には全日空(NH)が最初から週7便で就航し、そこへAMもデイリー化ということですのでなかなかの急拡大です。
週3便であった頃に取材をした際、需要が右肩上がりに、しかも業務渡航が伸びていると聞いた記憶がありますが、今後は環太平洋パートナーシップ(TPP)による経済関係のさらなる強化も期待されるところで、そうした環境の変化を当て込んだキャパシティ拡大なのでしょう。
第4位に入った記事でもニュージーランド航空(NZ)が日本への投資を継続すると意欲を示されており、インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、空か海のアクセス手段がなければ行き来すらできない日本にとっては大変ありがたい話です。
ただ、旅行会社についてのみ考えると、観光庁が毎月取りまとめている主要旅行会社の取扱概況で、少なくとも海外旅行の取扱額は減少し続けており、AMやNZの積極姿勢との間の温度差というか、「違うものを見ている」感覚が強くなっています。実際のところ、ウェブ化などによって、サプライヤー側の目には日本市場が全く違う景色で見えているのかもしれません。
NZは今年7月に日本支社長が交代したばかりですが、前社長のスコット・カー氏は日本人旅行者倍増という驚きの目標を掲げ、しかもその達成に向けて着実に座席増を実現されました。
そのカー氏にお話を聞いたことがありますが、イールドが低くともNZはレジャー市場を重要視するグループ向けのキャリアであり、他の航空会社はそうでなくてもNZは旅行会社を重要なパートナーと位置付けると話されていたことがはっきりと印象に残っています。
旅行会社とサプライヤーとで異なる景色が見えているかもしれない今、カー氏のように旅行業の価値を信じ、期待し、協働を呼びかけてくださるサプライヤーの方々と共に、何をどうやって成し遂げるかが業界の未来を左右する気が強くします。
「こんなものがあったら楽だな」「こんなふうだったらいいな」といったアイディアが、IT技術のおかげでものすごいスピードで具現化していく世の中ですので、もしかすると業界の未来というのは自ずと決まっていく、というよりすでに実は定まっているのかもしれません。
そうであるとするならば、問題はその未来にたどり着くための道を歩めるかどうかですが、個人的にはまるで旧約聖書の「ノアの方舟」のような話だと感じます。ノアの方舟は、簡単に書くと堕落した人類を滅ぼそうとした神が、唯一敬虔であったノアに大きな船を作らせ、そこにノアとその家族、そして動物の雌雄一対を乗せさせた後、大洪水を起こしたというような内容です。
その時代の人口がどの程度かわかりませんが、考えようによってはそれなりに慎ましく生きている人も、圧倒的な、自分のあずかり知らないところの力によって突然洪水に巻き込まれるわけで、不信心な人間からするとどうにも理不尽な話です。しかし、この旅行業界においては、その理不尽さに近いものが待ち受けているのかもしれません。
「備えあれば憂いなし」ともいいます。どうやって船を作るか、あるいはどうやって他人の船に乗るか、考えて損はないはずです。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年10月21日0時~10月28日12時)
第1位
◆10周年のアエロメヒコ、「間もなく」デイリー化、今週にも発表(16/10/23)
第2位
◆千葉県第3種の新三昌トラベルが破産開始決定、負債3.5億円(16/10/26)
第3位
◆現地レポート:ワルシャワ、ショパンが生きた街(16/10/25)
第4位
◆NZ、今後も日本市場に投資、羽田線にも意欲-CEO来日(16/10/24)
第5位
◆鳥取、観光関係者が風評対策で初動、情報発信を本格化(16/10/25)
第6位
◆国交省、全日空の旅客不一致事案で各社に指示、照合厳格化(16/10/26)
第7位
◆ジャルパック、マイル払い限定ツアーを発売、利用促す(16/10/25)
第8位
◆ヒースローに3本目の滑走路、25年に供用-アジアなど強化(16/10/26)
第9位
◆セブパシフィック、12月から成田/マニラ線にA330、256席増に(16/10/23)
第10位
◆クルーズバケーションが業務再開、第1種取得で卸売も(16/10/25)
※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
◆人事、KNT-CTグループ(16/10/25)