イベリア航空が日本就航、初便に330名-南米送客にも意欲
イベリア航空(IB)は10月18日、週3便で成田/マドリード線の運航を開始した。日本/スペイン間の定期便運航は、IBが1998年に同路線から撤退して以来18年ぶり。初便については、使用予定機材のビジネスクラス19席、エコノミークラス269席のエアバスA330-200型機に代えて、ビジネスクラス46席、エコノミークラス300席のA340-600型機で運航し、マドリードからは330人が搭乗した。成田発初便の搭乗者数は未発表。
初便で来日した会長兼CEOのルイス・ガジェゴ氏は、19日に都内で開催した記者説明会で「今日はIBにとって歴史的な日となった」と喜びを表現。日本再就航に至るまでの、数年間にわたる経営改善期間には、最新機材の導入やサービスの改善、定時到着率の大幅な向上などを進めて「刷新された企業に生まれ変わった」ことをアピールした。
成田/マドリード線については、機内での和食や日本語によるエンターテイメントの提供、日本人客室乗務員の搭乗などにより、万全の準備で臨んだことを強調。就航と同時に開始した、日本航空(JL)、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、フィンエアー(AY)との共同事業については「旅行者に多くの選択肢を提供できる」とアピールし、相乗効果に期待を示した。
4社による共同事業の対象となるのは、日本/マドリード、ロンドン、ヘルシンキ、パリ、フランクフルト線に加えて、マドリードから約80都市、ロンドンから約80都市、ヘルシンキから約60都市への各欧州路線、そして約40都市への日本国内路線。共同運賃の設定やFFPの連携も実施する。また、IBとJLは10月30日から、これまではマドリード/ロンドン、フランクフルト線の2路線に限られていた共同運航路線を計21路線にまで拡大する。
ガジェゴ氏は、2015年には前年比26.6%増の60万1000人と好調に増加した訪西日本人旅行者数をさらに増加することにも意欲を見せた。IBは同路線で1年間に約9万席を提供する予定で、増便や将来のデイリー化に向けても「意欲的に考えている」という。日本政府とスペイン政府は今年5月にオープンスカイに合意したところ。同氏はそのほか、スペインなどの欧州だけでなく、約20都市に就航している中南米への送客にも注力する考えを示した。
続いて登壇した最高統括営業責任者のマルコ・サンサビーニ氏も、日本人の中南米への送客に自信を見せ、空港での厳格な保安検査や、ESTAの取得などを伴う米系航空会社を利用するよりも利便性が高いと主張。南米旅行に強みを持つ旅行会社には、すでに働きかけを強化していることなどを説明した。
この日はそのほか、駐日スペイン大使のゴンサロ・デ・ベニート氏なども登壇し、再就航を祝福。同氏は「今日は2国の関係において大事な日となった。観光客が増えて市民同士の距離は縮まる」と述べるとともに、経済交流の活発化などにも期待を示した。