星野リゾート、温泉旅館「界」拡大へ-バリ開業は1月に決定

  • 2016年10月4日

星野氏  星野リゾート代表の星野佳路氏は10月4日に開催したプレス発表会で、現在は13軒を展開している温泉旅館ブランド「界」を、将来的には30軒まで増やす方針を示した。「界」はいずれも客室数50室未満だが、全国に30軒・約1500室を展開することで「大きなホテルグループ」をめざす考え。星野氏は「大きなホテルグループ」化のメリットとして、震災などで旅館が物理的・経済的な被害を受けた場合でも、他の旅館に注力することにより落ち込みを補えること、スタッフを需要の高い旅館に移して雇用し続けられることなどを挙げた。開業を希望するエリアについては、未進出の北海道や東北、九州などを列挙した。

「界 アンジン」の客室(イメージ)。内装は設計事務所「スーパーポテト」が担当  この日は2015年3月末に閉館し、全館の立替工事を実施中の静岡県伊東市の「星野リゾート アンジン」を「界 アンジン」として17年4月13日に開業することも発表。伊東市では「界 伊東」に続く2軒目で、「界 伊東」は3世代を含むファミリーをターゲットとしていたが、「界 アンジン」では夫婦やカップルをターゲットし、棲み分けをはかる。

 「界 アンジン」はJR伊東駅から車で3分の場所に位置。地上8階建てで、全室オーシャンビューの計45室を提供する。旅館の名前は、江戸時代初期に幕府に仕えた英国人航海士の三浦按針(ウィリアム・アダムス)に由来。内装は、按針が伊東で日本初の西洋式帆船を造船したことにちなみ、海や船旅をテーマとした。食事は「英国と懐石料理の接点」をテーマに、フィッシュアンドチップスなどの英国料理に着想を得たメニューを用意。最上階には露天風呂と、展望デッキ「サンブエナデッキ」を設けた。

9月時点の「星のやバリ」の様子  そのほかには、バリ島のウブドに開業予定の「星のやバリ」について、開業日が17年1月20日に決定したことを発表した。同施設は「星のや」にとって初の海外出店となるが「旅館ではなくバリのリゾートホテル」との位置づけ。当初は14年8月に開業する予定だったが、工事の遅れなどで数度にわたり開業時期を延期していることから、星野氏は「今回は意地でも開業する」と意気込みを示した。客室数は全30室で、宿泊料金は1泊1室7万円から。10月20日に予約の受付を開始する。

「リゾナーレ八ヶ岳」のレジデンステラスルームの新デザイン。八ヶ岳連峰の壁画も  山梨県の「リゾナーレ八ヶ岳」については17年1月11日から4月21日まで全館を休館し、15億円を費やして客室やレストランを改装することを説明した。「ワインリゾートの更なる深化」をコンセプトに、ワインにちなんだ内装に刷新する予定で、全館を休館しての大規模改装は開業以来初めて。

 客室は全172室のうち101室を改装。開業前にはモデルルームを準備して消費者に泊まってもらい、聴取した意見をサービスに反映するという。レストランは席数を現在の195席から250席に増やす予定。4月22日のリニューアルオープン後は、指定の店舗で購入したワインをレストランに無料で持ち込めるサービスを開始する。

 なお、星野氏は沖縄県の読谷村にリゾートホテルを建設する計画があることも明らかにした。詳細は未定だが、来年春のプレス発表会を目途に計画を進めるという。