16年海外旅行者は5%増の1700万人に-JTB総研が動向調査

  • 2016年9月15日

※クリックで拡大 JTB総合研究所(JTB総研)はこのほど発表した「2016年海外旅行の現状についての調査」で、16年の海外旅行者数が前年比4.9%増の1700万人に上るとの推計を示した。日本政府観光局(JNTO)が発表した1月から7月までの日本人出国者数の累計が4.5%増で推移していることや、お盆期間中の各航空会社の国際線が好調だったこと、為替の変動、JTBグループにおける先行予約状況などを踏まえて算出したという。

 同調査では、全国に居住する15歳から79歳までの男女4万人を対象にスクリーニングを実施。そのうち14年1月以降に海外旅行を経験した3399名に対して、5月16日から20日にかけてインターネットによるアンケートをおこなった。

 16年に観光目的で海外旅行へ行く人に回数を問う質問では、1回が最も多く全体の59.1%を占めた。次いで2回が24.2%、3回以上が16.8%となり、1人あたりの平均回数は1.59回となった。性および年代別では、最も回数が多かったのは「60歳以上の女性」で1.75回。このほか「20代男性」が1.71回、「60歳以上の男性」が1.66回、「20代女性」が1.65回となり、20代と60歳以上が多かった。

 また、16年について「例年より回数が減っている」や「行かない」と回答した人に理由を聞いたところ、「海外に行くほど長く休めない」が最も多く、全体の35.3%を占めた。このほか、「国内旅行で行きたい場所がある」が19.0%、「旅行先での治安が心配」が18.0%となった。

 「海外に行くほど長く休めない」が多かったことから、JTB総研は休暇の取得環境についても調査。その結果、土日祝日が休みの「カレンダー通り」が全体の65.7%で最も多く、長期休暇に関しては「(お盆などのピーク時に)1年に1回以上5日以上連続した休みが取れる」が45.0%、「(好きな時に)1年に1回以上5日以上連続した休みが取れる」が23.8%で多かった。

 長期休みの取得環境別に16年の海外旅行回数を比較すると、旅行回数が最も多かったのは「(好きな時に)1年に1回以上5日以上連続した休みが取れる」と回答した人で1.85回。一方、「5日間以上連続した休みは取れない」や「長期休みは取りにくい」と回答した人はそれぞれ1.42回、1.23回となり、5日間以上連続した休みが取得できる環境にあるか否かが、海外旅行の回数に大きく影響していることがわかった。

 また、海外旅行に行かない理由として約2割が「旅行先での治安が心配」と回答したことを受けて、JTB総研はテロや感染症などがモチベーションに与える影響についても質問。「テロや感染症が発生した場所は控える」が37.7%、「情勢を見ながら自分の判断で旅行を決めたい」が21.3%で、「当分控えたい」は14.7%。国際情勢や旅行先は気にしつつも海外旅行に意欲のある人が多いことがわかった。

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