週間ランキング、トラベルカフェ破産1位-サービスの難しさ
[総評] 今週の1位は、トラベルカフェの運営会社が破産申請の手続きを準備していることをお伝えした記事でした。例によっておそらく業界外の方々の興味を惹いたのではないかと思いますが、なんにしても旅行関係企業の経営が立ち行かなくなる話題は残念でなりません。
特にトラベルカフェは、個人的にも東京・天王洲のジェイティービー(JTB)本社の横にあるビルの店舗は取材前後の一服で利用していた上、それこそ入社直後に受けたAXESSの研修でも昼食時に利用したのがその店であったような気もし、なんとなく感傷的な気分になってしまいます。また、これによって職を失ってしまった方がいらっしゃるかと思いますが、禍福は糾える縄の如しともいいますのであまり気落ちせずに過ごされることを願っております。
さて、一転して脳天気な話題で恐縮ですが、先週は当欄もお休みをいただき久しぶりに旅行に出ましたので、たまには記事以外の話題をつらつらと書いてみます。
行き先は北海道、ある旅行会社の期中商品を利用し札幌と定山渓温泉、登別温泉に1泊ずつする旅程でしたが、印象が最も強く残ったのは温泉宿でした。定山渓でも登別でも数百室規模の大きな施設に宿泊したのですが、個人的に人混みが嫌いでさらにひねくれ者でもあるため従来は小さな旅館ばかり選んでいたものの、巨大な浴場やあるいはバイキング形式の食事など大きいからこその魅力や楽しさがあることを今さらながら感じることができました。
特に大浴場については開放感があるだけでなく、人口密度で考えれば比較対象が貸切風呂でもない限りパーソナルスペースを確保しやすく、さらに混んできた時の「逃げ場」もたくさんあることには考えが及んでいませんでした。また、自分の天邪鬼さを思うと、消費者の好みや嗜好というものが案外簡単にくつがえせるかもしれないことも発見でした。
一方、気になったのはサービスの不均質性です。まず、飛行機での移動時に往復とも荷物を預けたのですが、往路のグランドスタッフは気を利かせてカバーをかけてくれたのに対し復路では何もなく、結果的に荷物表面に結構な傷が付いて出てきました。物は使えば汚れ壊れるものでありそれ自体を気にしているわけではありませんが、期待していなかったことをしてもらった嬉しさはその次の機会での期待に繋がってしまいます。
また、別の場面では宿の夕食時に頼んだ日本酒を会場では飲みきれなかったため、客室に持って帰っていいか聞いたところ最初の担当者は先輩スタッフに確認して認められないと回答されました。しかし、理由がわからなかったためマネージャーと思しき黒服の方にもう一度聞いてみたところ、どうぞどうぞと即答されました。
その宿でのルールがどうなっているのか知りませんし、あるいは社会的にどちらが正しいのかも分かりませんが、個人的にはダメならダメでもよかったのです。応対するスタッフによって返事が変わるとむしろ不信感を与えるかもしれませんし、やはりその意味ではサービススタンダードの設定と共有が重要と思われます。
とはいえ、最初の航空会社の例のように個人がお客様のことを考えて行動していたとして、それが仮にスタンダードから逸脱していたとしても会社として余計なことと叱責するのはいかがなものかと思われます。こうしたジレンマはホテルで勤務していた頃には頻繁に感じていたもので、結局のところサービス業にとって永遠の課題なのでしょうけれども、久しぶりにその難しさを実感する機会になりました。(松本)
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(2016年09月02日0時~09月09日18時)
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