現地レポート:グアム、MICE獲得に向け邁進、大型会議場も開業
客室なども増加しハード面の課題が解消
キャンペーンやイベントで誘致を促進
MICE受入増に向けて着々と整備
「グアムならでは」の魅力で誘致
日本市場の需要拡大に向けて、GVBは長らくMICEの取り込みに注力している。大型団体の受け入れで課題となっていたハード面については、昨年に島内最大の会議施設「グアム・コンベンション・センター」を有する「デュシタニ グアム リゾート」が開業し、収容数において状況が改善しつつある。デュシタニによると、現在のグアム・コンベンション・センターの稼働率は60%程度だという。
また、12月末にグランドオープンをひかえるハガニア地区の「グアム・ミュージアム」はシアターやイベントスペースなどを有する。今年5月末から6月初旬にかけては「第12回フェスティバル・オブ・パシフィックアーツ」の会場の1つとして利用されており、今後もさらなる利用が期待されている。
客室不足についても、14年ごろから全222室の「ロッテホテルグアム」の開業や、昨年2015年6月には17年ぶりの新規ホテルとして全421室の「デュシタニ グアム リゾート」の開業などが続き、客室数が増加。「ツーリズム2020」で掲げる、リゾートホテルの開業や改修などによる「品質と収益性の改善」と「ハイクラスな客室の増加」という目標を達成しつつある。また、「ホテル・ニッコー・グアム」は、18年に完成予定の全340室の新たなタワー棟「TSUBAKIタワー(仮称)」を建設中で、島内では着々と受入体制の整備が進んでいる。
受入体制の整備にあわせて、GVBはMICE誘致のための旅行会社向けキャンペーンを展開中。修学旅行を含む団体手配旅行で、10名以上で1泊以上滞在する団体を対象に、記入例付きのグアム税関・検疫申告書を配布している。GVBによると、MICE目的での日本人訪問者数は14年が12万733人で、15年が11万3949人。16年については14年並みを目標としている。
GVBによると、グアムでのMICE目的の日本人訪問者のうち、多いのはミーティングとインセンティブ。しかし、今年5月にはグアム・コンベンション・センターでアジア太平洋観光協会(PATA)による600名規模の会議が開催されるなど、国際会議の開催も増加しつつある。デナイト氏は「今後はコンベンションにも期待している」と語り、「グアムは温かい気候で、フレンドリーな地元民がいて、海沿いのコンベンション施設があることを、グアムならではの価値としてアピールしたい」と意欲を示した。
そのほか、GVBはイベントの開催にも力を入れている。特に、日本人市場における4月から7月中旬までのショルダーシーズンには、「ユナイテッド・グアムマラソン(旧称:グアムインターナショナルマラソン)」や「グアムBBQブロックパーティー」「グアム・ライブ・インターナショナル・ミュージック・フェスティバル」など多様なイベントを開催。「グアムならでは(ONLY ON GUAM)」のイベントを立て続けに開催することで、イベントを目的とした訪問者の増加につなげるねらいだ。デナイト氏は17年以降についても、積極的に主催イベントを開催していく考えを示した。