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JTB、新興企業との協業「20年には柱の1つに」-説明会に70社

説明会の様子  ジェイティービー(JTB)は8月31日、スタートアップ企業との共同事業に向けた新たなプログラム「JTB Accelerator 2016」について、都内で説明会を開催した。今回のプログラムにシステムを提供するCrewwによれば「スタートアップ企業」とは、ベンチャー企業のうち「独自の技術などによって前例のないビジネスモデルを作りだし、既存マーケットに挑戦する成長速度の速い企業」のこと。JTBではこうした外部企業のアイデアを公募し、オープンイノベーションを進めることで、18年度までの中期経営計画で重点テーマの1つに掲げた「事業開発」を推進する。この日のセミナーには新興企業70社が参加した。

 新規事業開発のためのスタートアップ企業の公募は、同社グループではJTBビジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)が今年の5月に実施しているが、JTBとしては今回が初めて。冒頭で登壇したJTBグループ本社執行役員経営企画部事業開発室長の上田泰志氏は「JTBグループのリソースと、スタートアップ企業が持つさまざまなバイタリティやエネルギー、テクノロジーを掛け合わせて、新しい事業価値を創りあげていきたい」と意気込みを示した。業務提携に限らず、資本参加なども視野に協業を検討する方針だ。

 同氏はOTAやシェアリングエコノミーの台頭、人工知能(AI)やヴァーチャルリアリティ(VR)などの新技術の登場について述べた上で「旅行業界は大きな変化に晒されている」と説明。その上で「こうした変化はJTBのような『オールドエコノミー』と思われる既存の会社にとって、今までのビジネスモデルへの脅威となる反面、新しく生まれ変わり大きな1歩を踏み出すチャンスにもなる」と強調した。

JTBの上田氏  上田氏は、JTBがグループ会社の社員に対しても新規事業の公募を実施していることを説明した上で「JTBの既存事業とはまったく違う価値を新しく創り上げるためには、外部と協業しないと難しい」と語り、外部の着眼点を取り込むことの重要性を強調。2020年には新規事業群を「JTBグループの事業の柱の1つ」にしたい考えを語り、スタートアップ企業との協業体制を確立していく方針を示した。

 「JTB Accelerator 2016」のテーマは「『求む!予想外』JTBだけど旅行企画じゃないアイデア待ってます」。同社経営企画部事業開発室事業開発担当部長の山下真裕美氏は、外部との協業で実現したいポイントとして「非日常のJTBから日常のJTBへ」「今までにない革新的なサービス」「楽しい驚きのあるアイデア」の3点を挙げた。

 特に「非日常のJTBから日常のJTBへ」については、「旅行を通じて非日常の場面で多くのお客様と接点を持ってきたが、これからは日常での接点を持ちたい」と説明した。募集する事業のテーマの例としては、地域交流ビジネス、アクティブシニア、訪日事業、危機管理、VRやAR(拡張現実)などを挙げた。

 山下氏は、応募があった全企業とコンタクトを取り、アイデアの実現に向けて協議した上で、協業する企業を絞り込んでいく旨を説明。採択する企業数に上限は設けないが、最終選考となるプレゼンテーション時には10社前後に絞り込む見通しを示した。各事業は実証実験を経て、1年後を目途に本格的なサービス提供を開始する見込み。なお、選外となったアイデアについてもJTBグループの別会社で事業化する可能性があるという。応募は9月13日まで特設サイト上で受け付ける。