現地レポート:韓国・京畿道、歴史に触れられるソウル郊外

  • 2016年8月18日

韓流ドラマなどフックに観光をアピール
「ソウル+α」の魅力を発信

韓国民俗村では気軽に朝鮮時代の歴史に触れることができる  韓国の京畿観光公社はこのほど、アシアナ航空(OZ)と共同で旅行会社向けのFAMツアーを開催した。韓国の北西部にある京畿道(キョンギド)はソウルを取り囲むように広がる、14世紀後半の朝鮮時代から都の周辺地域として栄えた土地で、現在では鉄道や高速道路も整備され、首都圏を形成している。今回のFAMツアーは、朝鮮時代から続く文化や歴史をテーマとした韓流ドラマをフックに、ソウル郊外の魅力をアピールするもの。今後は「ソウル+α」の旅を訴求することで、ソウルに飽きた旅行者やソウルから1歩先に足を伸ばしたい旅慣れた旅行者の需要を獲得したい考えだ。


ソウルから各都市へは最大2時間
民俗村でタイムスリップ

ソウルの南西に位置する光明(クァンミョン)の街中。写真中央の建物はアーケード街「光明伝統市場」の入口  京畿道には世界遺産がある水原(スウォン)や広州(クァンジュ)のほか、国際空港がある金浦(キンポ)などの都市があり、京畿観光公社によると韓国の総人口の24.1%を占める1256万人が住んでいるという。北部には北朝鮮との軍事境界線が86キロメートルに渡って続き、西部には413キロメートルの海岸が伸びる。また、仁川国際空港からも近いことから物流の中心地となっており、電子部品メーカーのサムスン電子や家電メーカーのLGエレクトロニクスなどの本社が集まっている。ソウルから京畿道の各都市へは、近い都市で約15分、遠い都市でも2時間程度で行くことができるため、2日から3日ほどあれば十分に各地の観光地を訪れることができるだろう。

 京畿道では訪問者数などの統計を取っていないため、日本人旅行者の詳細な動向は不明だが、韓国全土への日本人訪問者数は2012年9月以来、2国間の緊張関係や中東呼吸器症候群(MERS)の流行などの影響を受けて減少を続けてきた。しかし、韓国観光公社(KTO)によると、今年の2月には3年5ヶ月ぶりに増加に転じ、以降は回復傾向が継続。1月から6月までの累計は前年比10.0%増の103万9915人となっており、今後も増加を続ける見通しだ。

民俗村では馬などの動物が飼育されているほか、農作物も作られている  今回のFAMツアーの日程は2泊3日。ドラマや映画のロケ地が多く集まる南部を中心に主要な観光地を訪問した。最初に訪れたのは龍仁(ヨンイン)にある「韓国民俗村」で、ソウル市内からは車で約1時間。約30万坪の広大な土地に、朝鮮時代の民家や特権階級の邸宅などさまざまな伝統家屋270棟余りを復元し、約3万点の資料を展示している。

「宮廷女官チャングムの誓い」などのロケ地としても有名。この日はバラエティ番組の撮影がおこなわれていた  韓国民俗村は朝鮮時代の人々の暮らしを知ることができるため、韓国の修学旅行では定番の観光地となっている。現在では外国人の家族連れなども多く、年間140万人の来場者のうち2割が外国人だという。

 村内のすべての展示物を見て回るには2時間以上かかる。また、園内には地元の料理を提供するレストランが11軒あり、昼食時に適しているので、ツアー造成の際には時間に余裕を持った行程を組むとよいだろう。FAMツアーではスケジュールの関係から、1時間程度で全エリアの半分だけを見るコースを巡った。